サヨナラのBMW「i8」を再考する【東海道・旅するi8:01】

ハイブリッド時代のスポーツカーのあり方を示したBMW「i8」が、ついに生産終了となった。そこで、BMW i8が果たした役割とはなんであったのか、2105年にi8で東海道五十三次旧道を旅したときの記憶をたどりながら考察してみよう。第1回は、旅のはじまりである日本橋からお届けする。

『東海道中膝栗毛』をクルマで体験してみよう!

 日本の道路の起点は、日本橋ということになっている。東海道、中山道、奥州街道、日光街道、甲州街道という五街道の起点を日本橋に定めて以来、日本橋という地名には、「スタート」という意味合いが加わった。

明け方になってから、雨が降り始めた。日本橋には空がない、つまり首都高速が屋根になってくれているので、かろうじて撮影ができた
明け方になってから、雨が降り始めた。日本橋には空がない、つまり首都高速が屋根になってくれているので、かろうじて撮影ができた

 東海道のゴールは京都・三条大橋だ。本来的には、京都から江戸へ向かうことを「下る」と表現していたので、スタートこそが三条大橋かもしれないが、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』以来、なんとなくスタートは日本橋ということになっている。

 東海道の各宿場は現在、観光地として整備されているところもあれば、打ち捨てられたような寂しい宿場もある。これまで、そうした宿場を幾度となく訪れたり、通過したりしたことはあるが、それは「点」としてであった。

 東海道とは、その名に「道」がついているように、主役は「道」であって、「宿場」ではない。

 そこで、各宿場間をつなぐ現在の東海道を、日本橋から三条大橋まで「クルマ」で一気に走破してみることにした。

 東海道を味わい尽くすには、江戸時代と同じく徒歩での旅が最適であろう。しかし、現代においては、徒歩で踏破するのは余程のことでない限り現実的ではない。

 一般の人が、日本橋から三条大橋まで東海道全ルートを通ってみようと思う場合、クルマかバイクか自転車だろう(ちなみに筆者は、折り畳み自転車BD-1でも走破済みだ)。

 ということで、日本橋から三条大橋まで、クルマで向かうことにしたのである。なるべく、現在の「東海道」ではなく「東海道旧道」をルートとして選択することにしたが、一方通行などもあり、その時・その場の状況で臨機応変にルートに関しては対応することにした。

 そしてこの旅のルールとして、各宿場で、その宿場を連想させるような写真をクルマとともに撮影することを課した(実はこれが後々、相当ハードな足かせとなる……)。

 クルマで東海道旧道を走破する旅に出ることは決まった。では、どのようなクルマで旅をするか、それが問題だ。

【画像】日本橋からいよいよBMW i8の旅はスタートします!(9枚)

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