ペダル踏み間違い事故9割減もあり得る? トヨタの防止システムが画期的な訳とは

トヨタは2020年7月1日に、ペダルの踏み間違い事故の防止性能を強化した「プリウス」「プリウスPHV」を発売しました。このシステムは、既に販売された現行型「プリウス」にも装着できるといいます。これまでのシステムと比べて、大きく進化したポイントとは、いったいなんでしょうか。

従来の踏み間違い事故防止システムとの違いとは?

 ゴルフのため女性を迎えに行った最新型の高級車が街中でアクセルとブレーキを踏み間違えて、歩行者に突っ込んだという悲惨な事故を覚えている人も多いでしょう。

 当該車両には、世界トップクラスの高い性能を持つ衝突被害軽減ブレーキシステムが搭載されていたのですが、自車の前にほかの車両や障害物が無い状況でアクセルを全開にしたら、衝突被害軽減ブレーキは稼働しません。

既販売車種向けに設定される「踏み間違い加速抑制システムII」のセンサー部分
既販売車種向けに設定される「踏み間違い加速抑制システムII」のセンサー部分

 こういった事故を防ぐべく、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防止する機能を持たせた後付けのシステムが数多く出てきたものの、試してみると全て使い勝手は悪かったです。

 普通に加速しようとしているのにパワー絞ってしまったり(後続車に追突されそうになる)、コーナーで横方向のGが掛かるとアクセル操作しにくかったり。とうてい推奨出来ません。

 そんななか、2020年2月にトヨタがまったく新しいシステムを発表していました。どんなシステムなのでしょうか。

 具体的には、30km/h以下で走っているときに、急なアクセルペダルの操作速度で、アクセルペダルの踏み込み量が大きく、登り坂以外で、直前のブレーキ操作がない、という条件を満たした場合のみ、踏み間違いと判定。アクセル全開しても最高30km/h以下に制限するというものです。

「踏み間違え防止機能が付いていても、前方に歩行者が居たら30km/hで衝突するの?」と考えるかもしれません。従来の衝突被害軽減ブレーキは、アクセル全開だとブレーキがキャンセルされるからです。

 すると「マイナーチェンジなどのタイミングで、歩行者や自転車に対してはアクセル全開でも衝突被害軽減ブレーキが効くようにしています」

 新しい踏み間違い防止機能、2020年2月の時点 では発売時期と搭載車両についてアナウンスされませんでした。どうなるかと思っていたら、同社の「プリウス」と「プリウスPHV」から採用されるといいます。

「暴走しやすい」と思われているプリウスながら、事故統計を見ると単に台数多いという理由で暴走件数が多いだけ。とはいえトヨタとすれば「だったらプリウスから採用しよう!」ということなんでしょう。やるなら徹底的に、ということだと思います。

 踏み間違い防止機能の採用にあわせ、衝突被害軽減ブレーキのシステムも夜間の歩行者まで検知してブレーキを掛ける、最新型にアップグレードしてきました。

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