なぜ高速上で車を停止!? 首都高に点在する信号機の設置理由とは
高速道路(自動車専用道路)といえば、速度域が高い道路という印象があり、渋滞以外では停止することが無いと思われています。しかし、全国各地には高速道路上に信号機が設置され、一般道と同じく赤信号時には停止しなければいけません。なぜ、高速道路に信号機が設置されているのでしょうか。
やむを得ず、高速道路に信号を設置?
高速道路や自動車専用道路では、基本的に横断歩道や信号機が設置されていることは少ないです。稀にトンネル内のトラブルを知らせる信号機が存在することがありますが、それ以外の場合ではどのような理由で信号機が設置されるのでしょうか。
首都高速道路の美女木ジャンクション(JCT)には、本線上に一般道と同様の交差点と信号が設置されています。
美女木JCTは埼玉県戸田市にあり、南は都心に向かう「首都高速5号池袋線」、北にはさいたま新都心駅に向かう「首都高速埼玉大宮線」が伸びています。さらに、東西には「東京外環自動車道」がつながり、東側は千葉県市川市、西側は東京都練馬区まで伸びています。
信号は、これら3つの道路が交わる交差点に設置され、見た目は一般道と同じ平面交差構造です。
信号機が設置されている理由について、首都高速道路株式会社は以下のように話しています。
「美女木JCTは、建設時において当該地域の区画整理事業がほぼ完了していたため、追加用地買収のない、現在の平面交差による接続となりました。
なお、信号制御については、交通管理者(警察など)と調整のうえ、平面交差を通過する車輛の安全性を踏まえ、公安委員会が信号機を設置しています」
※ ※ ※
区画整理事業は「土地区画整理事業」とも呼ばれ、「都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るためにおこなわれる、土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業」とされます。
美女木JCTは1993年に開通しましたが、建設時には既に埼玉県戸田市などの地域ではこの区画整理がほぼ完了。また、1992年には外環道も埼玉県の和光インターチェンジ(IC)から三郷JCT区間が開通していました。
ふたつの高速道路をつなぐJCTには、通常は上り線と下り線に分それぞれ岐路と合流路が必要です。美女木JCTの周囲は区画整理が完了し、多数の住宅が広がっていたことから、分岐路と合流路を新たに建設する追加の用地買収が困難だとされました。
そこで、新たな用地を買収することなく首都高と外環道を結ぶ方法として、一般道と同様の信号などの構造を持つ、平面交差点がつくられたのです。
その結果、美女木JCTは最上層に首都高、その下に信号のある平面交差点、最下層に外環道を持つ構造となりました。
ちなみに、円形の分岐路と合流路が無いことから、ほかの高速道路のJCTよりも小型化できたとのことです。
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