ブサかわフェラーリ発見! ロバと跳ね馬から誕生!? したプロトタイプとは

本来は表に出てこないフェラーリ実験車両車は、レア度高し!

 車名の「プロジェット(Progetto)」とは、イタリア語でプロジェクトのこと。

 一見したところでは、生産型の「360スパイダー」にハードトップを装着したスペシャルモデルのようにも映るが、その実体は「デュアルフレーム」の名が示すように、二重構造のフレームを持つムレットであった。

●プロジェット・デュアルフレーム:製作年不詳

プロジェット・デュアルフレーム(写真はムゼオ・フェラーリで撮影したもの)撮影:嵯峨赳夫
プロジェット・デュアルフレーム(写真はムゼオ・フェラーリで撮影したもの)撮影:嵯峨赳夫

 展示車両後方の解説ボードを読んでみたら、車体をなすフレームとは別に、コックピットをもうひとつのフレームとして形成するというコンセプトのもと、「360モデナ」用をベースとするアルミモノコックに、ラバーマウントを介してF50のキャビンを組み合わせたものとのことであった。

 これは、カーボンファイバー製モノコックにエンジンを直留めしてしまったことで、市販ストラダーレ(ロードカー)ながら強烈な騒音と振動に悩まされることになったF50の教訓を生かした、壮大な実験だったとも推測されるだろう。

 ところが、重量やサイズが嵩むわりには効果もあまりなかったそうで、このデュアルフレーム構想は、早々にしてキャンセルとなってしまったようだ。

●プロジェットF150:製作年不詳

ラ・フェラーリの開発初期段階で製作されたと推測されるプロジェットF150
ラ・フェラーリの開発初期段階で製作されたと推測されるプロジェットF150

 フェラーリでいうところの「F150」にはふたつの意味がある。

 ひとつは、発表された直後にフォードのピックアップトラックとネーミングが被ることから「150°Italia」と改称された2011年シーズン用のF1マシンのオリジナル名。

 そして「エンツォ・フェラーリ」後継車として、2013年にデビューした市販スペチアーレ「ラ・フェラーリ」の開発コードネームである。

 こちらのF150は後者。ボードに記された「Progetto F150」の名から判断すると、ラ・フェラーリの開発初期段階で製作されたと推測されるムレットなのだが、明らかに「458イタリア」のボディを流用したと思われる車体には、V12エンジンを収めるスペースは無いように見えるなど、いささか謎の多い1台であった。

 のちに良く似た形状の偽装ノーズに、生産型ラ・フェラーリに近い意匠のボディ後半部を組み合わせた、進化型ともいうべきF150ムレットも製作されたが、こちらにはエンツォやラ・フェラーリと同じく、V12エンジンが搭載されていたことが明かされている。

 ちなみにこの時の「アウト・エ・モト・デポカ」では、フェラーリ599をベースに当時のF1由来のハイブリッドシステム「KERS」を組み込んだムレットで、2010年のジュネーヴ・ショーで発表された「599 HY-KERS」も同じ特設ステージに展示されていた。

 この2台のムレットによる実験成果を合わせて、ラ・フェラーリが完成に至ったといえるかもしれない。

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