なぜ大ヒットしなかった!? いまなら評価されてもいいホンダ車5選

後発にしてやられてしまった不遇のトールワゴンとは!?

●S-MX

秀逸なコンセプトながらいまひとつヒットしなかった「S-MX」
秀逸なコンセプトながらいまひとつヒットしなかった「S-MX」

 1996年に発売されたホンダ「S-MX」は、若年層をターゲットに開発されたコンパクト・トールワゴンです。

 当時のホンダは「クリエイティブムーバー」というコンセプトのもと、「オデッセイ」や「CR-V」、「ステップワゴン」を次々と発売し、S-MXはシリーズの第4弾でした。

 外観の特徴としては、運転席側が1ドア、助手席側が2ドアの変則4ドアハッチバックで、当時ヒットしていたミニバンのシボレー「アストロ」をオマージュしたようなデザインが採用されています。

 シャシはステップワゴンをベースにショートホイールベース化され、室内は前後ベンチシートの4人乗りで、後に5人乗り仕様を追加。このシートは前後フルフラットにすることが可能で、一般的なセミダブルベッドと同等のサイズを誇りました。

 グレードは標準車に2WDと4WDがあり、カスタマイズカーのように車高が15mm下げられた「ローダウン」の3タイプをラインナップ。

 また、エンジンは全車に130馬力を発揮する2リッター直列4気筒を搭載し、コンパクトな車体と相まって余裕ある走りを実現しています。

 発売当初は、若いユーザーからコンセプトが高く評価されてヒットします。しかし、より広い室内で多人数乗車できるミニバンの人気が高まると、販売は徐々に低迷。

 さらに2000年にはS-MXとコンセプトを同じくするトヨタ「bB」が発売されると大ヒットを記録。ユーザーをトヨタに持っていかれるかたちとなり、2002年にS-MXは一代限りで生産を終了しました。

●アスコットイノーバ

スタイリッシュなスポーティセダンながら人気車とはならなかった「アスコットイノーバ」
スタイリッシュなスポーティセダンながら人気車とはならなかった「アスコットイノーバ」

 かつて、ホンダの販売チャネルは軽自動車や「シビック」など、小型車を扱う「プリモ店」、「アコード」や「レジェンド」など、ミドルクラス以上のモデルを扱う「クリオ店」、「インテグラ」や「プレリュード」など、スポーティなモデルを扱う「ベルノ店」の3つに分かれていました。

 そのプリモ店から1992年に発売された4ドアセダンが「アスコットイノーバ」です。クリオ店のアコードに対し、プリモ店には姉妹車の「アスコット」があり、その派生車としてラインナップされました。

 ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1380mm(2リッター車)と、アコードと同等ですがデザインは大幅に異なり、クーペのような流麗なフォルムに6ライトウインドウでスポーティさを強調。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCとDOHC、2.3リッター直列4気筒DOHCの3種類で、サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンが採用されるなど、高い走行性能を誇りました。

 しかし、アスコットイノーバはヒットを記録することなく、1996年に生産を終了。

 現行モデルのアコードがスタイリッシュなクーペスタイルを採用していることから、アスコットイノーバは出るのが早すぎたモデルだったのかもしれません。

※ ※ ※

 今回、紹介した5車種のなかで、とくに印象的なのがS-MXで、完全にフルフラットとなるシートアレンジの採用や、人と荷物を満載しても力強く走れるトルクフルな2リッターエンジンを搭載するなど、昨今の車中泊ブームやアウトドアブームにベストな1台です。

 ホンダ車に限った話ではありませんが、出る時期を見誤ってしまったクルマはたくさんあります。そうしたモデルを発掘するのも面白いのではないでしょうか。

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Writer: くるまのニュース編集部

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