新型フェアレディZの登場決定! 次期GT-Rは? 一筋縄ではいかない日産の今後の戦略
新型GT-R(R36)登場は日産の復活次第?
日産が今回、アリア推しばかりで、フェアレディZ推しをしなかったもうひとつの理由は、大規模なリストラへの配慮ではないでしょうか。
事業構造改革の柱として、グローバル生産能力を現在から20%削減し、年間540万台体制まで縮小します。そのなかで、スペインのバルセロナ工場とインドネシア工場の閉鎖を発表しました。
内田CEOは記者との質疑応答で、今回の改革は「リストラがメインではない」と強調しましたが、会見後にはバルセロナ工場前で従業員がタイヤを燃やして抗議のデモンストレーションを実施。
スペイン政府も日産撤退に遺憾の意を表すなど、2万数千人の雇用が失われることへの反発の動きが表面化しています。
また、別の記者からは、会見中に触れられなかった日本の生産体制の見直しについて質問がありましたが、内田CEOは明言を避けました。
このような厳しい経営判断を下した状況で、日産はユーザーに対して夢を売るスポーツカーである次期フェアレディZの存在を強調すること控えたのではないでしょうか。
では、次期「GT-R」(R36) はどうなるのでしょうか。2007年に発売された現行R35は登場から13年目です。
構造改革では、「選択と集中」としてグローバルで現在の69車種を55車種程度まで縮小するとしています。
また、日産はアライアンスにおいて、C/Dセグメント、EV、そしてスポーツカーのリーダーとして集中的な投資をおこなうとしています。
スポーツカーとして日産の発表資料に記載があったモデルが、フェアレディZ、GT-R、そして「スカイライン」の3モデル。R36誕生の可能性は、「アリ」です。
ただし、スポーツカー各モデルの具体的な開発・発売のロードマップは示されていません。フェアレディZだけが2021年11月までのフルモデルチェンジ初期群に入ったことが分かっただけです。
つまり、R36登場は早くとも2022年になるわけですが、今回の中期経営計画が2023年までの4か年計画であることから、構造改革が成功し、その祝福の意味で2023年登場なのか、それとも次期中期経営計画のスターティングポジションの象徴として2024年登場になるのか。
R36の運命は、「日産ネクスト」の初動の成果に、大きく左右されることになります。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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