なぜ最近のSUVは2WDが主流? 悪路も走れる4WDと二極化が進む訳
昨今は軽自動車やコンパクトカーとともに、SUVの販売比率が高まっています。カッコイイ外観や実用面で人気を得ているSUVですが、4WDよりも2WDが主流になっているといわれています。それは一体なぜなのでしょうか。
オフロード4WDからシティ派へ 時代とともに変化するSUVのニーズ
最近はSUVの売れ行きが伸びています。2005年頃のSUVの国内販売比率は約5%で、ステーションワゴンと同等でしたが、いまでは15%前後に増えました。
逆にステーションワゴンは3%に下落。15年前は約20%のシェアだったミニバンは、いまでは15%となっており、近年の販売比率は、軽自動車、コンパクトカー、SUVが増加傾向です。
この3つのカテゴリのうち、軽自動車とコンパクトカーは実用重視ですが、SUVはカッコ良さも兼ね備えていることが特徴です。4名で快適に乗車できて、荷物も積みやすく、なおかつデザインや運転感覚も楽しめることから、SUVは人気を高めました。
SUVの過去を振り返ると、悪路向けのオフロード4WDに行き着きます。もともと日本では、悪路で使う作業車として三菱「ジープ」やトヨタ「ランドクルーザー」、日産「パトロール(後にサファリに改称)」といった、後輪駆動をベースにしたオフロード4WDが生産され、これらの車種がSUVに発展しました。
1980年以前にオフロード4WDを一般ユーザーが買うことは少なかったですが、1982年に三菱初代「パジェロ」が登場して流れが変わりました。パジェロもジープの技術を継承するオフロード4WDでしたが、直線基調の外観は洗練され、内装も乗用車感覚で上質に仕上げました。
当時は景気が上昇傾向で、若年層のクルマ好きも多い時代です。楽しいクルマがスポーツカーやクーペだけでは物足りないと感じていたところに、「道のない場所まで入って行ける」という新しい世界観のパジェロが登場したので一躍注目されました。
1984年にはトヨタ「ハイラックスサーフ」、1986年には日産「テラノ」なども加わり、オフロード4WDを街中で乗りまわす使い方が流行したのです。
パジェロは1991年に2代目にフルモデルチェンジされ、翌年は1か月平均で7000台近くを販売しています。高価格なパジェロが、いまのトヨタ「アクア」などと同じくらい沢山売れる時代でした。
ところがこの後、オフロード4WDの人気は急落します。カッコ良くて悪路走破力も高いところが魅力ですが、ボディが重く走行安定性や取りまわし性は良くありません。加えて価格が高いです。
日本に本格的な悪路はあまりなく、肝心の優れた走破力を発揮する機会はほとんどなく、目新しさが薄れるとユーザーの購買意欲も下がりました。
そして1994年には、トヨタ初代「RAV4」が発売されます。前輪駆動ベースのシティ派SUVで、5ナンバーサイズのコンパクトなボディを備えました。
外観も軽快でカッコ良く、それまでのオフロード4WDとはまったく違うクルマです。若いユーザーに注目され、コンパクトクーペの「レビン/トレノ」に似た感覚で購入されました。
1995年には、コンパクトで車内の広い実用性の優れたホンダ初代「CR-V」も発売され、ファミリーユーザーを中心に1996年には1か月平均で8600台を登録しています。
このように売れ行きが下がり始めたオフロード4WDに代わり、RAV4、CR-V、トヨタ初代「ハリアー(1997年)」、スバル初代「フォレスター(1997年)」といった前輪駆動ベースのSUVが登場して、需要を現代に繋げています。
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