ホンダ「ジェイド」生産終了 一方「シャトル」が前年比160%を達成したワケ
似て非なる存在?シャトルとジェイドの違いとは
実はシャトルとジェイドを比較すると、車体サイズはジェイドのほうがひとまわり大きく作られています。
しかし、荷室の広さは、ジェイド2列モデルの440リットルに対して606リットルとシャトル(ガソリン車で床下収納も含む)のほうが上。シャトルのほうが実用的なパッケージングといっていいでしょう。
そのうえ価格もジェイドのガソリン車(エンジンにターボが付く)が244万3100円からなのに対し、シャトル(ジェイドと同じ排気量ながら自然吸気エンジン)は180万8400円からと、60万円以上リーズナブルに購入でき、それが大きな差を生んだと考えるのが自然でしょう。
もちろん、シャトルとジェイドでは車体のつくりやガソリンエンジンの出力、インテリアの仕立てなども異なるので、単純に価格だけで比べられるものではありません。
しかし結果から考えたときに両者の違いとして見えてくるのは、価格設定が販売台数に大きく影響していると考えるのは自然なことといえるでしょう。
いいクルマを作ろうと思えばそれに応じたコストがかかり、車両価格が高まることは理解できます。しかし、消費者のクルマ選びの意識としては「より安く。より効率的に」という傾向が強まっていると考えられます。
また、これまでは値段が高くなってもハイブリッドのほうが強く好まれる傾向にありました。しかし昨今はガソリン車の燃費も大きく向上したことで、「ガソリン代まで含めて考えても、ガソリン車のほうがコストパフォーマンスが高い」として、価格設定の安いガソリン車を選ぶ非ハイブリッドへの回帰の動きが増えているのかもしれません。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
G7諸国の中で唯一所得が下がり続ける日本。安い車しか売れません。