なぜEVを日本初採用? 日産が製作したEV救急車が稼働開始 ふたつのバッテリーの違いは
日産は日本初となるEV救急車を東京消防庁池袋消防署へ納車し、稼働が開始されたと発表しました。なぜ日産はEVの救急車を製作したのでしょうか。
日本初のEV救急車! EVならではのメリットとは
日産は、東京消防庁池袋消防署へ納車した日本初となるEV救急車が稼働を開始したと発表しました。同車は池袋消防署のデイタイム救急隊で運用される予定です。
EVは乗用車のなかでも珍しい存在ですが、日産がEVの救急車を導入した理由とは、いったい何でしょうか。
EV救急車は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取り組みの一環として、東京消防局に初のゼロ・エミッション救急車として導入されました。
ボディサイズは、全長5548mm×全幅2070mm×全高2499mm。車両総重量は3.5トンで、乗車定員は7名、駆動方式はFF(前輪駆動)です。駆動用モーターは最大出力55kW、最大トルク220Nmを発揮します。
さらに、本車両は33kWhと8kWhのふたつのリチウムイオンバッテリーを搭載。電装機器やエアコンをより長時間作動させることが可能で、停電時や災害時には移動電源としても活用することができます。
容量33kWhのバッテリー(駆動用バッテリー)は、充電AC200V、最大出力7kwで普通充電(タイプ2)に対応。容量8kWhのバッテリー(装備品用バッテリー)は充電AC100V、最大出力1.5kWというスペックです。
救急車には患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや、精密医療器具を搭載する必要があることなどから、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きいと、日産は説明します。
日産の最高執行責任者兼チーフパフォーマンスオフィサーであるアシュワニ・グプタ氏は、次のようにコメントします。
「日産は持続可能なモビリティによって、ゼロ・エミッション、ゼロ・フェイタリティ社会の実現に向けて貢献していきます。本車両は、地域社会において環境にやさしいクルマがより利用しやすくなっていく、大きな事例のひとつとなるでしょう」
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EV救急車は、同社が欧州で販売中の「NV400」をベース車両としており、日本法規への適合や専用の救急架装については、日産パラメディックでの豊富な実績を持つオートワークス京都が担当しました。
また、内外装は欧州の緊急車両架装大手であるGruau社に委託。堅牢で合理的な救急架装パッケージとしています。
内装には、救急隊員の負担を軽減するための電動ストレッチャーや、すべてのシートに乗員の安全性を向上させるシートベルトが装備されています。
寒冷地での冬期間の使用だと、燃費ならぬ電費が心配。エンジンの車のようにラジエーターの熱源を利用してのヒーターが使えないので、電池の持ちを気にしながらの搬送が冬期間はネックになると思う。