なぜ円形状の交差点は増えた? 「ラウンドアバウト」が年々増加するワケ

実際の運用効果はどれほどのもの?

 日本国内では、2014年以前からラウンドアバウトの試験運用が始められており、2010年に長野県飯田市の吾妻町、2012年に同県同市の東和町に導入されました。

 飯田市での実地検証では、直線的に通過できない形状とし入口と出口の1車線化、環道は円形にして車線幅は車両1台分、導流帯(ゼブラゾーン)を用いて進入と退出をわかりやすくしています。さらに、優先/非優先の明確化をおこなうことで、交通の流れを整え速度抑制も可能になったとしています。

 実地検証によると交差点の通過速度が、約35km/hから25km/hに低下。利用者のアンケートによると過半数が良くなったと答え、悪くなったと答えたのは20%だったようです。

静岡県焼津市のラウンドアバウト
静岡県焼津市のラウンドアバウト

 では、実際に導入した自治体はどのような背景から導入し、どのような効果が出ているのでしょうか。2020年3月に静岡県内で初めて複数の環状交差点を導入した、静岡県焼津市の担当者は以下のように話します。

――環状交差点を導入された経緯を教えてください。

 国道150号バイパスが整備されるなど、周辺の道路環境が変わるなかで、主道路の交通量が以前と比べて減少しています。また、交差する従道路の交通量は主道路に比べ、さらに少ない状況にあります。

 そして、主道路は見通しの良いほぼ直線の道路であることから、通行車両の速度が高くなる傾向があり、交通事故が発生した場合には、重大事故につながる恐れがあります。

 これらのことから、主道路の通行車両の速度を抑制し、路線全体の安全性の向上を図るとともに、信号停止による待ち時間を削減し、交差点の円滑性の向上を目的として導入しました。

――事故率の変化などの効果はあったのでしょうか。

 最初に整備した「山の手環状交差点」おいては、利用者から交差点の通過速度低下により、安全性が向上したという意見も多くいただいており、事故についても、重大な事故がなくなるなどの効果が確認されています。

「下藤環状交差点」についても、2020年3月13日の供用開始から4月24日現在まで事故は発生していません。

――今後、環状交差点を導入する予定はあるのでしょうか。

 市道交差点で導入効果が見込まれる箇所があれば、検討を進める予定です。

※ ※ ※

 ラウンドアバウトは日本ではまだ見かける機会はあまりないですが、新たに交差点を建設するタイミングで導入されることが多いようです。

 しかし、都心部では土地の確保ができない点や、交通量が多すぎる交差点では渋滞の原因となる点など、不向きな土地があるのも事実です。そのため、今後はラウンドアバウトのメリットが最大限に生かせる場所に設置されることが予測されます。

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