ケイマン/ボクスターは4気筒でも十分!! 富士スピードウェイ全開走行で判明

ポルシェのエンジンといえば、「911」に搭載されている水平対向6気筒エンジンを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、かつては「356」シリーズや「912」などのように水平対向4気筒モデルも数多い。現行のラインナップでは、「718ケイマン/ボクスター」が4気筒エンジンを搭載したポルシェだが、そもそも、6気筒モデルに比べて走行性能は見劣りするのだろうか。モータージャーナリストの中谷明彦氏が富士スピードウェイで全開走行して、その問に答えを下す。

4気筒でもまったく遜色ない戦闘力

 ポルシェ「ケイマン/ボクスター」のエントリー的な存在である4気筒モデルは、果たして6気筒モデルに比べて大きなビハインドがあるのだろうか。

 この問題を晴らすべく、富士スピードウェイを全開で走った結論は、ラップタイムとトップスピードの数値が物語っている。

●ポルシェ718ケイマンS サーキット・インプレッション

911ターボと同じVTG可変ジオメトリーターボはレスポンスがよく、タイムラグがほとんど生じない
911ターボと同じVTG可変ジオメトリーターボはレスポンスがよく、タイムラグがほとんど生じない

 ポルシェ「ケイマン/ボクスター」は2016年のモデルチェンジに際して、それまでの水平対向6気筒自然吸気エンジンから、水平対向4気筒ターボエンジンへと変更がなされた。当時、これはポルシェ社の新たなるチャレンジといっても過言ではなかった。

 従来からの水平対向レイアウトは継承されているものの、気筒数が6気筒から4気筒へと縮小されたという事実は、元々はVWビートルにフラット4が搭載されたのがポルシェの始まりとはいえ、多くのポルシェファンに衝撃を与えたに違いない。

 試乗したのは「ケイマンS」。2.5リッターのフラット4にターボチャージャーを装着したモデルだ。ケイマン・ターボと呼称しないのは、昨今の「911カレラ」と同じ理由によるのだろう。

 エンジンサウンドは2気筒減少の影響を大きく受けるはずだが、ケイマンのサウンドは悪くない。始動時の迫力ある排気音に加速時の力強い音質も、スポーツエキゾーストで上手く演出されていて、個人的には6気筒より個性を感じて好感が持てる。

 走り出すとそのパンチの効いた吹け上がりに、不安は一気に吹き飛んだ。911ターボと同じVTG可変ジオメトリーターボはレスポンスがよく、タイムラグがほとんど生じない。

 PDKとの相性も合わせ込まれていて、動力性能はもしかしたらフラット6の前モデルより高そうだ。実際カタログでのあらゆる数値は上回っているし、富士スピードウェイのストレートスピード、ラップタイムも1分57秒09、253km/hで、コストパフォーマンスは超一級である。

●ポルシェ718ボクスターS サーキット・インプレッション

軽快さと正確なライントレース性、コントロール性が同居しているため、リアがリバースしてもすぐに立ち直れるのもミドシップならでは
軽快さと正確なライントレース性、コントロール性が同居しているため、リアがリバースしてもすぐに立ち直れるのもミドシップならでは

 ポルシェ「ボクスターS」もケイマン同様718のコードネームが与えられ、フラット4のダウンサイジングターボエンジンを搭載する。

 パワースペックもまったく同じ、最高出力350ps、最大トルク420Nmで、カタログ記載では動力性能も最高速度も変わりない。ポルシェ社は、ボクスター/ケイマンの走りに能力差を与えていないのだ。

 富士スピードウェイで走らせても、それは確認できる。ストレートでの最高到達スピードはケイマンより1km/h速い254km/hに達したが、それはルーフが軽いことが最終コーナーの旋回脱出速度を若干有利にしたのだろう。

 空気抵抗値CD値はケイマンSの0.31に対し、ボクスターSは0.32。最高速度到達時には、両者の差はほぼ皆無と勘案される。

 さらにラップタイムが、手元計測でケイマンSの1分57秒9に対し、ボクスターSは1分58秒05と計測誤差の範囲内でほとんど同じといえる。

 ハンドリング面でも特性がまったく同じで、ミドシップモデル特有の好特性を示した。ミドシップというとテールハッピーと勘違いしている人が多いが、正しいミドシップ特性はボクスター/ケイマンを操ればすぐに理解できる。

 911と同じフロントセクションを持ちながらターンインでより回頭性が高いのは、正しいミドシップレイアウトによりZ軸周りの慣性モーメントが小さいからだ。

 軽快さと正確なライントレース性、コントロール性が同居しているため、リアがリバースしてもすぐに立ち直れるのもミドシップならでは。4気筒モデルである718ボクスターS/ケイマンSは、どちらも完成度の高い走りだった。

●PORSCHE 718 Cayman S
ポルシェ718ケイマンS
・車両価格(試乗車新車時):865万4000円
・全長:4379mm
・全幅:1801mm
・全高:1295mm
・ホイールベース:2475mm
・車両重量:1460kg
・エンジン形式:水平対向4気筒ターボ
・排気量:2497cc
・エンジン配置:リア縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:7速PDK
・最高出力:350ps/6500rpm
・最大トルク:42.8kgm/1900-4500rpm
・0-100km/h:4.4秒
・最高速度:285km/h
・燃料タンク容量:64リッター
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)ストラット式
・タイヤ:(前)235/40ZR19、(後)265/40ZR19

●PORSCHE 718 Boxster S
ポルシェ718ボクスターS
・車両価格(試乗車新車時):904万4000円
・全長:4379mm
・全幅:1801mm
・全高:1280mm
・ホイールベース:2475mm
・車両重量:1460kg
・エンジン形式:水平対向4気筒ターボ
・排気量:2497cc
・エンジン配置:リア縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:7速PDK
・最高出力:350ps/6500rpm
・最大トルク:42.8kgm/1900-4500rpm
・0-100km/h:4.4秒
・最高速度:285km/h
・燃料タンク容量:64リッター
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)ストラット式
・タイヤ:(前)235/40ZR19、(後)265/40ZR19

【画像】ポルシェ718ケイマンS/ボクスターSで富士スピードウェイを全開アタック!(17枚)

まさか自分のクルマが… 高級外車のような超高音質にできるとっておきの方法を見る!

画像ギャラリー

1 2

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー