落札価格1億円! ポルシェ「959」は未来の911の姿だった!?

豪華な内装のコンフォート仕様959は、263台のみ生産

 ポルシェ959のボディは、軽量化という意味でも十分に未来を先取りしていた。特殊アルミ合金、ポリウレタン強化ファイバーグラス、エポキシレジンによる強化が施されたケブラー&ファイバーグラスという合成樹脂等々、ポルシェは高価な素材を、適材適所に惜しみなく使用していた。

 ポルシェはこの959で、コンフォートとスポーツというふたつのモデルを生産しているが、トータルで292台が生産されたうちの263台は豪華な内装や装備を持つコンフォート仕様だ。

 残りの29台はスポーツとなるが、今回RMサザビーズのアメリア・アイランド・オークションに姿を現したのはコンフォート仕様の方である。ちなみにポルシェはほかに製作されたプロトタイプやプリ・プロダクトモデルを含め、959の総生産台数を337台としている。

ポルシェ959は、トータルで292台が生産されたうちの263台は豪華な内装や装備を持つコンフォート仕様である(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ポルシェ959は、トータルで292台が生産されたうちの263台は豪華な内装や装備を持つコンフォート仕様である(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 959のミッドに搭載されるエンジンは、2.85リッターの水平対向6気筒DOHCツインターボ。これは956や962CといったグループCカーの2.65リッター版をベースとしたもので、水冷化やDOHCヘッドの採用など、こちらも後の911に大きな影響を及ぼしている。

 注目の最高出力&最大トルクは、450ps&500Nm。組み合わせられるミッションは、1速の下にウルトラローを持つ6速MTで、トルクはここから電子制御多板クラッチを介して、同様に電子制御されるクラッチで常時4輪に最適に配分される仕組みだ。

 4輪のダブルウイッシュボーンサスペンションにも電子制御技術は導入されており、ドライバーはコックピットのスイッチでダンパーの硬さと車高をセッティングできる。

 今回RMサザビーズに出品された959は、前でも触れたとおりコンフォート仕様の一台。それを959、そしてポルシェのスペシャリストとしてアメリカでは有名な、ブルース・カネパ氏率いる、カネパ・デザインがレストアとフルメンテナンスをおこなった個体である。

 走行距離は5822マイル(9315km)と少なく、それも人気の大きな理由となった。最終の落札価格は105万ドル(約1億1235万円)。落札者にとっては素晴らしい買い物となったようだ。

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