国産最高峰のトヨタ「センチュリー」の実燃費を調査! 5リッターHVのVIPカーの実力は?
新型センチュリーは先代に比べて圧倒的に低燃費
●高速道(復路)
走行距離:69.0km
実燃費:14.3km/L
復路の高速道路は、小田原西インターから小田原厚木道路を経由して39kmほど走り、厚木からは東名高速道路へ合流。東京インターまで走った復路の高速道路(走行距離69km)の燃費は14.3km/Lで、結果的には往路と同じ平均燃費となりました。
しかし、走行条件は往路と大きく異なります。復路は全体として標高差はほとんどなくフラットで、長くて急こう配の登り区間がないのは燃費に対してプラス要素です。
さらに小田原厚木道路は自動車専用道なので制限速度は70km/hと低く設定されており、燃費に有利な状況。本来なら、往路よりも良好な燃費を記録してもおかしくありません。参考までに、出発時の走行用バッテリーはほぼ充電されていました。
有利な環境ながら結果往路と同じ燃費に留まった理由として思い当たるのは、走行状況の違いです。往路の東名高速道路は制限速度で走るトラックの後方を走ったので、空気抵抗がきわめて少なかったと思われます。
しかし復路は、周囲に70km/hの制限速度を守って走るクルマがおらず、空気の抵抗をもろに受けて走り続けました。高速領域における燃費悪化の最大の理由が空気抵抗(速度の2乗に比例して増える)なので、この差が燃費に現れたと考えられます。
とはいえ、区間燃費の14.3km/Lは超重量級の大型セダンと考えれば素晴らしい結果といえるでしょう。
●一般道
走行距離:36.0km
実燃費:11.9km/L
最終セクションは市街地区間です。東京都世田谷区を東西に貫く世田谷通りを中心に、世田谷から西方面へ向かって36.0km走りました。帰宅ラッシュのはじまるタイミングでの道路は混雑気味。スピードのあまり出ない片側一車線かつ信号も多い道で、一般的な市街地の状況といえるでしょう。
一般道は、停車や発進も多いのですが、大型セダンながら12km/Lに迫る燃費はさすがです。カタログによると、WLTCの市街地モードは9.9km/Lで郊外モードは12.5km/L。その中間なのでまずまずの実燃費といえるでしょう。
ハイブリッドはエンジンとモーターそれぞれを効率よく使うので、加減速の多い場所で一般的なクルマに比べてとくに燃費を伸ばすことができます。
今回は高速道路走行時にバッテリーをため、そのエネルギーを上手に活用したことも燃費が伸びた要因になったようです。走り始めてしばらくしたタイミングでは、モーター走行領域が多かったおかげで16km/Lという表示も確認できました。
ただし、今回とは別の走行時にバッテリーがほぼ空の状態から走り始めたときは、市街地での燃費は10キロほど走っても10km/L手前までしか伸びませんでした。
停止と発進を繰り返す市街地では、スタート時のバッテリー残量によって燃費が大きく変化する可能性があります。
※ ※ ※
センチュリーで236.1km走って計測したトータル燃費は12.4km/Lでした。カタログを見ると、記載されているWLTCモード燃費(総合)は12.4km/L。比べると、今回のテスト走行における達成率も悪くありません。
余談ですが、先代センチュリーの燃費はJC08モードで7.6km/Lでした。新型になって飛躍的に向上していることがわかります。
センチュリーで燃費を伸ばすポイントは、いかにモーターを有効活用するかにあるといえるでしょう。
加速時は、ある程度加速したら早めにアクセルを閉じ気味にするとエンジンを止めてモーター走行となるので燃費が稼げる傾向にあります。
また、渋滞時などはエンジンを止めて走る「EVモード」にすると燃料消費を抑えられます。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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