リバティウォーク加藤氏に聞く、世界で注目のフェラーリ&ランボルギーニの「族スタイル」とは?
フェラーリやランボルギーニをリベット留めのオーバーフェンダー化した「BOUSOU-ZOKU-STYLE」を世界に広めたリバティウォーク。その仕掛け人である代表・加藤渉氏に、どうして「族スタイル」を日本ではなく海外で発表することにしたのか、その理由を尋ねてみた。
破天荒なカスタムのルーツは、ワークススタイルにあり!
日本を代表する改造マニアのひとり、「シャコタンコヤジ」ことリバティウォーク代表・加藤渉氏。その名は日本国内だけでなく、海外でも有名だ。
加藤氏はやることなすことが悪ノリだらけで破天荒、しかし、完成したデモカーはセンスがよく、クールなカスタムとして世界的に人気急上昇中だ。
そんな加藤氏のカスタムの手法は、昭和世代のクルマ好きには、とても馴染み深い「族」スタイルが原点になっている。なかでも加藤氏の代表作といえるのが「ワークススタイル」だ。
街道レーサーがこぞって装着していたワークスオバーフェンダーを、ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェといったスーパーカーやスーパースポーツカーに装着し、海外のカスタムショーでお披露目をおこない、世界のカスタムシーンにおいて一大旋風を巻き起こして話題を作ったのは記憶に新しい。
日本ではツーリングカーレースからはじまり、やがて族を象徴するスタイルとして継承していったワークススタイルは、極太タイヤを履かせるための手法としてフェンダーをカットしてオーバーフェンダーを装着し、シャコタンツライチに仕上げて強烈な個性を主張するものだった。
この方法で仕上げたクルマは、当時のクルマ好きの若者にとっては、特別な輝きを放っており、憧れたカスタムスタイルであった。
そのカスタムスタイルを、そのままスーパーカーに当てはめ、日本が誇る「族」の改造スタイルを海外向けに発信したのが加藤氏なのである。
瞬く間に全世界に「BOUSOU-ZOKU-STYLE」広めることに成功したリバティウォーク加藤氏の着眼点は、時代を先取っていたといっていいだろう。今では「BOUSOU-ZOKU-STYLE」といえばリバティウォークと全世界のカスタムカーフリークが認める存在になった。
加藤氏が主張するカスタムスタイルの原点は1970年代、1980年代の族車の改造スタイルだが、加藤氏はそのスタイルをなぜスーパーカーに置き換えたのだろうか。
もちろん、加藤氏が思うカッコいいスタイルを追求するのはもちろんのこと、実は現在の若者たちに向けて、いかにクルマをクールにカスタムするかの基準を作ってもらいたいという想いも込められている。
現在の若者たちには、加藤氏が若い頃に憧れた「ハコスカ」や「ケンメリ」のワークススタイルを見せたところで、その本当のクールなカッコよさを理解することは無理である。なぜなら、そもそも世代が違い、それらのクルマが現役で活躍していた頃の時代の空気感を知らないからだ。
ならば、現在の若者たちもよく知っているスーパーカーならどうだろう、ストレートに伝わるのではないか、と、加藤氏は閃き、スーパーカーをベース車両にして、ビス留めのオーバーフェンダーのワークススタイルを提案したのである。
今では全世界に浸透している「BOUSOU-ZOKU-STYLE」は、こうした発想から誕生した。つまり、このスタイルには、加藤氏のカッコ良さの基準であるビス留めオーバーフェンダーという改造スタイルを、今の若者たちに伝えたいというメッセージが込められているわけだ。
●自分がクールだと思うことを貫くだけ
加藤氏が初めて海外に「BOUSOU-ZOKU-STYLE」を引っ下げて進出したときのことを語ってくれた。
「自分たちが先輩から教わったように、何がカッコよくて何がカッコ悪いのかを後世に伝えることが、自分自身のモチベーションを高める原動力になっているのは間違いない。
自分がいいと思うことを貫いてやっているだけ。好きなことを自由にやって、それが世の中に認知されるくらい浸透していったら最高でしょ。
幸い、日本ではあたり前だった族文化も海外ではまったく知られていなかった。海外ではチューニング先進国なんていわれてた日本だけど、まだ見たことのない改造文化が日本にある、まだこんなスタイルが日本にあったのか! そう海外の人に思ってもらうには、ひと目見ただけで大胆かつクールな暴走族スタイルは、インパクトがあると思ったんだよね。
それに、自分にとって一番カッコ良いスタイルだと思っているから、自信あったよね」
そして、その自由な発想は見事に海を渡って成功した。まだ知らない世界観を好む海外セレブ達に衝撃を与えたのだ。ありきたりのカスタムカーではなく、今まで見たこともない特別な仕様は、間違いなく斬新であった。
メイドインジャパン、特別なオーダーメイドのカスタムカー、そして日本のストリートカスタム「BOUSOU-ZOKU-STYLE」……。こうしたキャッチーな触れ込みによって、海外メディアに次々と取り上げられることとなる。
これはまさに逆転の発想でもあった。日本人は、海外の話題や流行を取り入れることには、あまり抵抗がない。そこで、加藤氏は、昭和の時代に日本で流行ったワークススタイルを「逆輸入」することで、平成の時代の日本人にすんなり受け入れられるようにしたのだ。
こうしたブランディング手法は、海外の流行に影響を受けやすい若者たちに受け入れられたのである。
「日本で流行らせるのではなく、海外で流行らせて、それを日本で注目させる。いろいろな仕掛けを考えるより、何よりもシンプルでわかりやすいでしょ」と加藤氏はいう。
カスタムカー大国の日本において、急成長を遂げたリバティウォーク。仕掛け人の加藤氏の話の端々には、若者にもっとクルマに興味を持ってもらいたいという加藤氏の熱い想いが感じられた。
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