トヨタ販売網の期待と不安 新型「ハリアー」登場で波乱!? 販売合戦なるか
販売好調な「RAV4」にも影響が出る?
販売現場での懸念は、都内にある別の販売チャネルのスタッフからも聞かれました。
「現在、弊社ではRAV4が好調なのですが、上位グレードの『アドベンチャー』と新型ハリアーのベーシックグレードが、価格面などでバッティングするのでは、と見られています。
もちろん、RAV4とハリアーはキャラクターが異なっていますが、サイズや価格でSUVをお買い求めになるお客さまも少なくありません。
ハリアーの登場によってRAV4の販売台数に影響が出るかもしれませんし、全販売チャネルで売ることで逆に増加するかもしれません。今後の先行受注や6月の発売を迎えないと我々も分かりません」
ちなみに、トヨタのSUVラインナップにおける2020年3月期の登録車販売台数を見てみると「ライズ」が1万2009台で登録車全体で4位、RAV4は6286台で15位、そして従来型のハリアーは2908台で33位にランクインしています。
一時期、1位の登録台数を確保し続けていたライズが4位に落ちたとはいえ、50位以内に3台ものSUVが入っているのはトヨタだけです。当然、6月の発売以降は、ハリアーも上位に食い込んでくる可能性もあります。
さらに、2020年から2021年にかけて、次期型「ランドクルーザー(300系)」の登場も噂されています。そうすれば、コンパクトSUVのライズから、ラージサイズオフロードSUVのランドクルーザーまで、すべてのクラスのSUVラインナップが完成します。
その布陣が完了すれば、トヨタはSUV市場において万全の備えのようにも見えますが、前述の営業スタッフはこう語ります。
「ハリアーの登場によって、RAV4の販売実績も一時的に刺激されてアップするかもしれません。しかし、全販売チャネルで販売することで、トヨタ系販社による競争は間違いなく激化するはずです。
そうすると、ハリアーとRAV4の値引き競争になるかもしれません。さらには、この新型コロナ禍というタイミングもあり、価格が発表されるまで分かりませんが、いろいろな意味で新型ハリアーはトヨタの試金石になるでしょう」
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7年ぶりのフルモデルチェンジを果たした新型ハリアーは非常に期待できそうなSUVです。果たして、トヨタ車同士で競合してしまうのか、それともWIN-WINなのか。ちなみに、先行予約の受付は、5月16日前後の予定となっています。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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