大人気「ジムニー」にも影響!? 爆売れ四駆「ジープ」にあった意外な迷走期とは
人々が求めつづけたジープブランドの本質とは
当時、ジープはダイムラー・クライスラーが扱うブランドのひとつでした。
ジープは第二次世界大戦でアメリカ政府から軍用車両の生産を要請された、Willy-Overlandが始まりです。その後、ジープは買収が繰り返され、1998年からダイムラー・クライスラーが扱うようになりました。
2005年頃のダイムラー・クライスラーによるアメ車戦略は、クライスラーブランドが「300C」などでレトロデザイン推し、またダッジブランドはハイパフォーマンス系「SRT」のラインナップの拡充が目立ちました。
一方、ジープは1990年代のチェロキーブーム以降のヒット作がなく、クライスラー・ダッジとの車体・部品共有化によるオンロード車の可能性を意識し過ぎていた印象があります。ジープのヘリテージを無理に気にして、ライフスタイル系アイテムにこじつけよう、という感じにすら見えました。
その後、2007年にダイムラー・クライスラーが米投資会社に売却され、リーマンショックを受けて2009年に事実上の倒産。その後、ジープを含めて現在のフィアット傘下となります。
こうした厳しい時期でも、ラングラーは着実に売れ続けました。
人々がジープに求めたのは、本物のオフローダーだったのです。
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現在、ライフスタイル系の人気オフローダーといえば、ラングラー、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、スズキ「ジムニー」が代表格です。さらには、フォードが新型「ブロンコ」で相乗りしようとしています。
各モデルの共通項は、スクエア(角ばった)ボディデザインと、レトロっぽい丸目ライト。その原点は、やはりジープです。
例えばジムニーの場合、日本でライセンス生産していた三菱版のジープをイメージした、ホープ自動車「ホープスター」をスズキが引き継いだことを、当時その話を直接受けた鈴木修会長が、2018年におこなわれたジムニーのフルモデルチェンジのタイミングで話しています。
人々が、ジムニーに、Gクラスに、そしてラングラーに魅了されるのは、そこに、本格的なオフローダーとしての「機能美」があるからではないでしょうか。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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