泣き寝入り防止! ドラレコ販売増のワケ CASEへの活用も期待

近年、増加傾向にあるドライブレコーダーの販売台数。基本的には、あおり運転を原因とする事故が報道される度にその販売台数も急増しているようですが、どのような形で普及しているのでしょうか。

必須アイテムとなりつつあるドラレコ。設置に助成金を出す自治体も!

 近年、大いに注目を浴びるようになった「あおり運転」。今まで日本全国で横行していましたが、凶悪なドライバーによる事故や事件が全国的に報道されるようになったことで、犯罪行為としての認識が広まりました。

いつ「あおられる」か分からない… いざという時の「ドラレコ」が売れ続けている
いつ「あおられる」か分からない… いざという時の「ドラレコ」が売れ続けている

 そんな世論を受けて、2020年3月に閣議決定された道路交通法改正案では「あおり運転」の罰則化が盛りこまれています。

 警視庁の「第201回国会(常会)提出法案」によるとその内容は、「(1):通行妨害目的で、交通の危険のおそれのある方法により一定の違反(車間距離不保持、急ブレーキ禁止違反等)をした場合(懲役3年・罰金50万円以下)」、「(2):(1)により著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合(懲役5年・罰金100万円以下)」というものです。

 これに加えて、行政処分としても、あおり運転で摘発されると即座に免許の取消処分となり、免許の再取得までの欠格期間は2年から3年になる見通しで、今期の通常国会で審議され、2020年の夏までに施行する方針だといいます。

 そんな状況のなか、急激に需要を伸ばしているのがドライブレコーダーです。2016年度は国内の出荷実績が145万6829台でしたが、2017年度は266万5309台、2018年度は367万1669台と急成長を続けています。

 2019年度は第1から第3四半期で371万4108台となり、まだ集計は出ていませんがこのままいくと第4四半期を加えて500万台に到達しそうな勢いです。

 ドラレコの出荷台数を四半期ごとに分析してみると、2017年度の第3四半期(10月から12月)に急に倍増しているのが分かります。

 これは、2017年6月に発生した東名あおり運転事故において、加害者の悪質なあおり運転によって被害者の夫婦2名が死に至るという悲劇が起こり、同年10月10日に加害者が逮捕され、それが全国で報道されたことの影響が挙げられます。

 そして再びドラレコの出荷台数が大きく伸びたのは、2019年度の第2四半期(7月から9月)。2019年8月10日に発生した、常磐道あおり運転暴行事件の影響が大きな要因です。

 この常磐道の事件では、あおり運転では初めて、「強要罪」を適用して加害者が起訴されることになりました。その決め手となったドライブレコーダーの記録映像は連日テレビで取り上げられ大きな話題となりました。

 常磐道での事件を受けて2019年の夏以降、あおり運転を代表とした危険運転を記録したドライブレコーダー画像がマスメディアやSNSで共有されるようになりました。

 ドラレコの売り上げが急増しているなかでも、あおり運転の被害者となったときを想定して、フロントカメラとリアカメラとの前後セットタイプが一般的になっています。

 さらに常磐道の事件のような車外でのトラブルも記録できるように、クルマの周辺の状況を全て記録できる360度撮影対応タイプのドラレコも増えてきています。

 また、いくつかの自治体ではドラレコの購入・設置に助成金を出す取り組みを始めています。神奈川県湯河原町では2018年4月から「1台1万円を上限」に、ドラレコの購入・設置費用の半額を補助。

 ほかの自治体でも、金額は違えど同様の助成金制度を施行しています。県単位では、鳥取県が2019年11月10日から「1台3000円を上限として総予算1000万円で補助金制度」をスタートしました(すでに受付終了となっています)。

 また、記録用以外の使い道をする人も増えており、1970年代の国産車に乗っている男性Yさんはこう語ってくれました。

「数十年前の国産旧車に乗っていて、今までは雰囲気が壊れるのがイヤだなと思ってドラレコを避けてきましたが、最近は小型化していてあまりジャマにならないので、最近前後タイプのドラレコを装着しました。

 量販店で2万円台から売っていることもあり、いざというときに備えられる安心感もあります。また、スマホと連動して、好きな部分の動画を切り出してSNSに投稿することもできるので、ドライブの思い出を残すのにも役立っています」

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