なぜ日本でポルシェ人気加速? 10年で販売台数約3倍に 伝統と先進の融合が成功の理由か
ポルシェ大躍進はコンパクトSUVのお陰だった?
プレミアムSUVの先駆者といえる「カイエン」は2002年に登場し、21世紀のポルシェ躍進の礎を築き上げました。
日本へのデリバリーは2011年度に1294台、2012年度が1379台。2017年10月にフルモデルチェンジした3代目は2018年7月に日本でも発売され、2018年度1192台、2019年度は1041台と、安定した数字を見せています。
カイエンの成功を受けてポルシェがラグジュアリー・セダンに挑戦した「パナメーラ」は2009年に登場。都心の高級住宅街で見かける印象が強いですが、実は日本へのデリバリー台数を見ると、2011年度は544台だったのが、2018年度で1110台、2019年度1049台と、着実に伸びていて、カイエンと同程度の売り上げを占めるようになっています。
しかし、これらのモデルが着実に数字を積み上げただけでは、ポルシェのこの10年の急成長は語れません。2010年代のポルシェを代表する立役者は、2014年に発売されたコンパクトSUV「マカン」です。
日本では1年後の2014年に発売されましたが、全長4695mm×全幅1925mm×全高1624mm(2019年モデル)という、日本の市街地でも扱いやすいサイズと、導入当時616万円からという、ポルシェ・ブランドとしては破格ともいえるプライスから大人気となりました。
2014年度のポルシェの日本デリバリー総数が5138台でしたが、マカンが導入された2015年度は総数で6527台に大幅アップし、そのうちの2125台をマカンが占めた結果、ほかのモデルが低調だったのを、補って余りある売れ行きだったことが分かります。
マカンは、2016年度は2538台、2017年度2378台、2018年度2047台、2019年度2232台と、日本国内でのポルシェ販売の主軸を担うようになっているのです。
グローバルで見てみても、2019年のポルシェ全体のデリバリー台数28万800台のうち、マカンが9万9944台と、全体の3分の1近くを占めるようになっています。それに9万2055台でカイエンが続くという構造です。
ポルシェ・ジャパンの例を見ても、ポルシェは既存のモデルの売り上げを着実にキープしながら、それらと競合しない新カテゴリのマカンを導入することで、その売り上げを単純に上乗せすることに成功しているというわけです。
そしてポルシェは次の開拓地としてEVスポーツカーを選択し、2019年9月にフルEVスポーツカー「タイカン」を発売。同年11月に日本でも初披露され、予約受注を開始しています。
スポーツカーで築き上げてきたブランドに、プレミアムSUV市場での成功を加えて、今度はEV市場でポルシェがどれほどの成功を得ることになるのか、注目していきたいところです。
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