事故時だけでなくあおり運転などのトラブル時にも! 救援要請システム「ヘルプネット」とは?

近年、各自動車メーカーが採用し始めた「ヘルプネット」と呼ばれるサービスがあります。緊急時の対応やあおり運転などのトラブルにも役立つとされるこのシステムは、全国の警察や消防へ直接接続することが可能なインフラシステムです。

ヘルプネットの仕組みや、使用方法は?

 ヘルプネットは、クルマに設置されたスイッチやナビ画面に表示されるボタンなどをタッチすることで専門のオペレーターに接続され、必要によっては緊急車両の手配などをおこなってくれるサービスです。

交通事故のイメージ
交通事故のイメージ

 通常の事故やトラブルの場合、ドライバーや同乗者が自ら携帯電話などを使用して警察や消防に連絡をおこない、緊急車両を要請しなければなりません。

 そのため、通りなれた道であればその場の位置情報を説明することも容易ですが、あまり土地勘のない地域やパニックに陥っている状態では、正確な位置を伝えることが困難な場合もあります。

 そんな状況でも、このヘルプネットサービスを利用することで、車両に搭載されているGPSにより正確な位置情報をオペレーションセンターに伝えることが可能です。

 ヘルプネットサービスへ接続するには、主に「自動通報」「専用ボタンによる通報」「カーナビからの通報」の3通りの接続方法が存在します。

 自動通報は、事故などでエアバックが展開するのと連動して自動的にセンターへ通報。ドライバーが意識を失って連絡ができない場合でも、オペレーターによって救援機関に通報される仕組みです。

 専用ボタンは、運転席の上方に設置されていることが多く、急病やトラブルなどが起きた場合にドライバーが自らSOSボタンを押すことで、通報が可能となります。

 カーナビでは、画面上に表示される「HELP」ボタンを押すことでセンターに接続。センターへの通報後は、位置情報や車両情報、センサー情報などがヘルプネットオペレーションセンターへ緊急通報データとして送信されます。

 その後、オペレーターと音声通話でのやりとりや救援機関への緊急要請をおこなうことで、現場へ緊急車両が到着する流れです。

 2020年4月時点でこれらのサービスが利用可能なモデルは、トヨタ車ではアルファード、ヴェルファイア、カムリ、カローラシリーズ、クラウン、C-HR、センチュリー、RAV4、プリウスが標準装備となっているほか、オプションで設定することが可能な車種も多く設定されています。

 ホンダ車ではオデッセイ、フリード、ステップワゴンがオプション設定となっており、日産車では、プロパイロット搭載車両のスカイラインに標準装備されているほか、オプションでデイズでの利用が可能です。

 また、マツダ車では、マツダ3とCX-30が標準装備。レクサス車は、ほぼ全ての新型車両に標準装備されています。

 現在の利用状況について、ヘルプネットを運営する株式会社日本緊急通報サービスは以下のように話します。

「昨年度受理した総通報件数は、約5万4千件で、2018年度に比べ、通報件数は約1.8倍になっています。

 ヘルプネットサービスの普及が進み、利用可能な車両が増えていることが主たる理由と考えておりますが、あおり運転に関する通報が増加していることも事実です」

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