エンツォも一発OK! フェラーリやブガッティ、パガーニの公式トラベルバッグとは?【イタリア通信】

イタリアの経済は、イタリア国内に散らばるファミリー経営の中小企業で成り立っているという。ファミリーの絆は強く、また地域との繋がりを大切にし、地に足をつけた経営がイタリア経済を支えている。そんなファミリー企業のひとつである、モデナにある皮革製造業社、2020年に創業140周年となるSchedoni(スケドーニ)を紹介しよう。

エンツォもひと目で惚れたスケドーニのトラベルバッグ

 モデナといえば、近辺に世界に名だたるスーパーカーメーカー、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラッティ、パガーニが存在する街だ。

 それらのイタリアン・スーパーカーメーカーだけでなく、今や世界中の自動車メーカーと仕事をしているスケドーニ。現在4代目社長のシモーネ・スケドーニ氏に話を伺った。

スケドーニは、フェラーリF40やテスタロッサのトラベルバッグを手掛けていた
スケドーニは、フェラーリF40やテスタロッサのトラベルバッグを手掛けていた

 1880年、シモーネの曽祖父チェルソが靴職人としてスタートしたところからスケドーニの歴史は始まる。その息子、シモーネの祖父ジュセッペは13歳で孤児になったが、父親が残してくれた靴製造機械を元に家業を継ぎ、高品質の靴作りを目指すようになった。

 そして3代目となるシモーネの父、マウロの時代から事業が拡大していくこととなる。1960年代後半は、世界的に経済成長のさなかにあり、ファッションも花開いた時代だ。マウロは靴の他にカバン、ベルト、小物類などにも挑戦するようになった。もちろん、何をするにも祖父から受け継いだ、スケドーニのモットーであるクオリティ追求の精神はしっかりと彼のDNAのなかに根付いていた。

 そして1977年にスケドーニは自動車業界へと繋がっていく。この話に入る前に、前年1976年のクリスマスの際のエピソードを記しておこう。

 マウロはフェラーリ「308GTB」を所有している叔父フランコ・フォッリのために、トランクに入るトラベルバックセットをサプライズプレゼントした。フランコは、トランクにぴったりと収まったトラベルバックを見て感動。トランクに入る丁度良いサイズのバックが見つからず困っていたところだった。

 たまたまその時に居合わせた叔父の友人で、当時フェラーリ社の営業部長であったアメリーゴ・マニカルディもそのトラベルバックを見て、「トランクのなかにこんなに綺麗に収まるなんて!」と、マウロがフランコに贈ったプレゼントをひと目で気に入ることとなる。なぜならそれは、フェラーリオーナーがまさに欲しがっていたアイテムだったからだ。是非、フェラーリ社のためにも製造してくれないか、と、話は急展開することとなる。

 そして翌年の1977年の1月に、さっそくマウロはフェラーリ本社に試作品を持って出かけた。最終判断はエンツォ・フェラーリ御大だ。

 その当時からエンツォは、世界中のフェラーリファンから神格化された存在であった。マウロ自身も大のフェラーリファン。不安と期待が渦巻くなか、生まれて初めてエンツォ・フェラーリに直接会い、試作品をプレゼンする。

 エンツォもトランクに綺麗に並んだバックを見て、あまりの緻密さと品質の高さに感動し、その場で契約の話は纏まった。

 当時、308のほかに「512BB」、「400」も生産されていたので、すぐにコラボレーションを開始することになった。マウロにとって夢の世界の話が、エンツォのひと言で現実になった瞬間だった。その日はマウロにとって一生涯忘れられない日となった。

 スケドーニはその日から、フェラーリのサプライヤーとして途切れることなく40年以上関係を続けている。フェラーリ308 GTBから始まり、400、512BB、「モンディアル」、「288GTO」、「F40」……、そして、最近発表されたフェラーリ「ローマ」に至るまで、ワンオフバージョンを含め、数々のフェラーリのトラベルバックを製作してきた。

 フェラーリの新車発表会には、必ずといってよいほどスケドーニのトラベルバックがセットとなっている。もはやスケドーニは、フェラーリにはなくてはならないビジネスパートナーなのだ。

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