幻の計画!? 「2ストエスティマ」があった!? ミニバン市場を開拓した30年
2019年に惜しまれつつ姿を消したトヨタ「エスティマ」。初代モデルには、幻の「2ストロークモデル」の計画があったなど、ミニバンをけん引してきたモデルです。約30年の歴史とは、どのようなものなのでしょうか。
「未来」を表してきたミニバンの先駆け
トヨタ「エスティマ」は1990年から2019年まで、3世代にわたり約30年間販売されてきた日本を代表するミニバンのひとつです。2019年に惜しまれつつ、姿を消したエスティマですが、どのようなモデルだったのでしょうか。
1990年に発売された初代エスティマは、2000年までの10年間販売。発売当初は、まだミニバンという概念自体が普及してなく、当時7人乗りや8人乗りのクルマは「バン」と呼ばれていたのです。
初代エスティマのCMである、恐竜「トリケラトプス」の背中に7人の家族が乗って登場するというもので「新世代マルチサルーン」というコピーは、エスティマがそれまでの「バン」とは違うクルマであることを象徴する内容でした。
未来的な外観と内装でしたが、1800mmという全幅は当時の国産車としては大柄であり、のちに1700mmに収めた「エスティマ エミーナ」「エスティマ ルシーダ」が別車種としてラインナップ。
他社の同クラスモデルが排気量の大きいエンジンを搭載し、余裕のあるパワーを持っていたことに対抗して、エスティマも「アエラス」などの高級グレードにスーパーチャージャーを搭載していました。
また、現在のミニバンは、エンジンをボディ前方に配置するFFやFFをベースにした4WDが一般的です。しかし、初代エスティマは、スポーツカーなどに採用されるMRという、エンジンを車体の中心にレイアウトするモデルでした。
さらに、初代エスティマは、当初2ストロークエンジンを搭載する予定でしたが、排出ガス規制に適合しなかったことなどにより、実際には一般的な4ストロークの2.4リッター直列4気筒エンジンが採用されるなど、現在のミニバンとは違う仕様で企画されていたことがわかります。
結果として、初代エスティマはガソリンエンジンを搭載して登場しましたが、当時としては近未来的なフォルムや、現代の高級ミニバンのルーツともいえる「新型高級サルーン」というコンセプトのとおり、ミニバンという新しいジャンルの草分け的クルマとしてユーザーに受け入れられたのです。
当時、初代エスティマを所有していたオーナーは以下のように話しています。
「当時のエスティマは、まだボックス形状のバンが多いなか、丸みを帯びたフォルムが人気のようでした。仲間内でも、新しい物好きな人達は興味深々で、何人かはエスティマを買ってました。 実際にほかのバンと比べて高速道路での乗り心地は良かったと思います」
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初代エスティマが登場した1990年頃には、専用ボディを持つ多人数乗車が可能な乗用車が少なかったことも、エスティマが愛された理由のひとつなのかもしれません。
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