クルマの「強制保険」と「任意保険」 知っておきたい補償範囲の違いとは!?

範囲も金額も柔軟に変更できるのが「任意保険」の強み

 強制保険である自賠責保険に対し、任意保険は加入するかどうかを選ぶことが可能です。

 しかし、人身事故を起こしてしまった場合は自賠責の限度額を超える賠償金、さらにはクルマをぶつけてしまったり物を壊してしまった際の費用が、全て自己負担となってしまいます。

交通事故で怪我を負うイメージ
交通事故で怪我を負うイメージ

 自動車保険を扱う保険会社によると、ガードレールは1mあたり5000円から5万円、カーブミラーは1個あたり4万円から10万円となるそうです。

 また、クルマ同士の事故の場合、相手のクルマと自分のクルマ両方の修理代を自己負担しなければならず、自身が負ってしまった怪我の通院費なども自己負担となります。

 さらに、事故の相手や弁護士とのやり取りまで、一個人である自身でおこなう必要も出てきます。

 それらの負担を考えると、任意保険は未加入でも法律違反ではありませんが、「もしも」の時のことを考えれば、絶対に加入するべきといえるでしょう。

 実際に、任意保険に加入していない相手との事故に巻き込まれた、神奈川県に住む会社員の男性は以下のように話します。

「高速道路を走行中に追突され、追突してきた相手が任意保険に未加入でした。

 こちら側は弁護士さんが相手と交渉をしてくれたのですが、相手が個人ということもあり、損害賠償の話や支払いはスムーズに進みませんでした。

 しかし、通院費は支払わなければならず、最初はほぼ自己負担でした。

 結果的に通院費については自賠責保険で支払われたのですが、クルマの修理費用やレッカー代は、相手側がローンを組んで支払う形になりました。

 最終的な解決にかかった時間は半年以上で、自分が任意保険に入っていても、相手が任意保険に入っていなければ大きなトラブルに巻き込まれるとわかりました」

 また、自動車保険を扱っている、ある保険会社のスタッフは、任意保険でカバーできる補償範囲と金額について、以下のように話します。

「当社の保険には、Webと電話で申し込める2種類の保険があります。

 内容は、対人・対物・人身・車両保険を基本保障とし、クルマを運転している時以外の日常生活の中で怪我をした際の保険や、ロードサービスなどの特約を付けることもできます」

 このように、任意保険の補償範囲は、自賠責保険が保障する「被害者の身体」だけでなく、加害者の身体、クルマ、壊れた物など、多岐にわたります。

 さらに、任意保険の場合は、補償限度額は加入者が自由に決められ、「対人保障」と「対物保障」に限度額を定めない「無制限」にも設定できるため、仮に死亡事故に至った場合でも、個人的に負わなければならない損害賠償金額を無くすことも可能です。

※ ※ ※

 損害保険料率算出機構の「2018年度自動車保険の概況」によれば、任意保険の加入率は2018年3月末時点で約74%とされています。

 これは、4人に3人が任意保険に加入している計算となりますが、逆に言えば4人に1人は「任意保険未加入」という状態でもあります。

 自分が注意していても、避けられない事故に遭遇してしまう可能性はゼロではありません。

 そんな時のために、自分の身を守る意味でも任意保険に加入しておいた方がいいといえるでしょう。

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