なぜ高速道路沿いにラブホテルが多い? モータリゼーションと法律が影響した歴史とは
夜の高速道路を走行しているとひと際きらびやかな建物を見かける機会があります。俗にラブホテルと呼ばれるものですが、なぜ高速道路沿いに多くあるのでしょうか。
ラブホテルは、なぜ高速沿いに多くあるのでしょうか?
高速道路を走行していると、ひと際派手な外観をした特殊なホテル(通称ラブホテル)を多く見かけます。いざ利用するとなれば、インターから近く駐車場も完備され、使い勝手は抜群です。しかし、なぜ高速道路沿いで多く見かけるのでしょうか。
高速道路沿いには、ひときわ派手できらびやかな外装のラブホテルが多く建設っています。さまざまな利用用途がありますが、「泊まるところが見つからず、仕方なくラブホテルを使った」という経験をしたことがある人もいるでしょう。
しかし、なぜラブホテルは高速道路沿いに多いのでしょうか。それには「歴史」と「法律」が深く関係しているようです。
まず、ラブホテルの原型は、アメリカ発祥の「モーテル(道路沿いにある車庫付きの宿。モーターホテルの略)」とされています。世界でも先駆けてクルマが普及したアメリカにおいて、幹線道路から近く駐車場付き、安価な宿泊料金といった点が人気となり、急速に広まりました。
日本では、1963年に石川県加賀市で開業した「モテル北陸」が発祥といわれています。当初は、ドライブ帰りの宿泊を見込んでいましたが、実際は男女での利用者が多かったためにアベック向けに方針を転換、これが人気を博して全国的に広まっていきます。
アメリカでは、モータリゼーションによってモーテルが発展したのと同様に、日本でも高度経済成長によってクルマが普及し高速道路が全国各地に発展。その影響もあって、クルマでアクセスしやすい高速道路のインターチェンジ沿いにラブホテルが増えていったようです。
また、街づくりをおこなう際は、都市計画法によって「用途地域」が定められます。これは、異なる種類の建造物が乱立することを防ぐための法律です。
例えば、工場と住居と娯楽施設が同じ地域に集中すればトラブルの可能性が高くなるため、地域ごとにその用途を定める必要があります。
何も指定されていない地域は「無指定」とされ、建設に関する許可が降りやすくなるといわれています。インターチェンジ付近は無指定とされることが多いほか、騒音などの影響で相場よりも土地代が安いこともあり、ラブホテルが多く建設されたとされています。
かつてラブホテルを経営していた元経営者は、次のように話します。
「1980年代から1990年代はクルマそのものがブームでしたから、必然的にお客も多かったです。繁華街は、建設の審査が厳しかったので、高速道路沿い以外では、都心から少し離れた郊外や、田舎のドライブコースといった立地が好条件でした。
ですが、バブル崩壊後ぐらいでしょうか、若者をはじめデート手段としてドライブをする人が減ってから、一気に売上は落ちました。私は10年ほど前に廃業しています。最近では、駅に近い繁華街か、クルマ社会の地方、どちらかに絞らなければやっていけないと思います」
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また、繁華街でもラブホテルを多く見かけることがあります。これは、かつて遊郭があった場所から幾度の法改正によって、旅館やラブホテルなどに業種変更した結果として残っている場所が多いためです。
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