米軍サポートから80年!? 三菱「ジープ」と「Jeep」の関係性とは
かつては、三菱が販売をおこなっていた「ジープ」。近年人気の輸入車「Jeep」とはどのような関係があるのでしょうか。
販売年数は約半世紀!?
「ジープ」はかつて軍事用車両として、第2次世界大戦中にアメリカで開発されました。そして、戦後は日本のメーカーによって2000年代まで販売されていたクルマでもあります。現在でも人々を魅了するジープとは果たしてどんなクルマだったのでしょうか。
ジープは、1940年から生産が始まり、第2次世界大戦中には約64万8000台が製造されたともいわれています。
戦争で活躍したジープですが、国内では主に軍事目的で作られていたため、しばらくは一般的に流通することがほとんどありませんでした。しかし、その後に朝鮮戦争が勃発したことをきっかけに多くのジープが必要となり、日本でもジープを製造するきっかけが生まれました。
初めての国産ジープは、現在の三菱重工株式会社にあたる「中日本重工業」によって作られました。当時は、ジープを製造していたアメリカの企業「ウィリス・オーバーランド」と、「倉敷レイヨン」との共同出資によって設立された、「倉敷フレーザーモータース」によって販売され、主な顧客は日本にいるアメリカ軍や、軍人、警察予備隊だったとされています。
しかし、最初の国産ジープはアメリカから部品を輸入し、組み立てを日本でおこなう「ノックダウン生産」方式だったため、車体やエンジンなどはすべて外国製で、「組立式輸入車」といえるものでした。
当時、ウィリス・オーバーランドは、9か国とジープの下請け契約を結んでいたといわれていますが、その後、日本にだけ製造・販売権の供与が認められました。そして、エンジンや部品を国内で作るようになり、ジープは国産車として民間用にも販売されるようになったのです。
完全な国産化を果たしたジープは、1956年に発売されます。民間用としては、林業、建設、電力関係のユーザーがいたとされ、ある資料では1957年には年間約4000台が生産されていたともいわれています。
最初のジープは、屋根はもちろん、ドアの部分まで布製の幌となり、オープン状態だと深い緑色と相まって、軍隊のクルマのような個性を持ちます。
サスペンションは、トラックと同じリーフサスペンションとされ、耐久性は高いものの現在の乗用車のような乗り心地は望めないようです。エアコンなどの快適装備も無く、まさしく軍用車のようなスパルタンなクルマです。
国産ジープは、2人から4人乗りの「ショートホイールベース」、3人から7人乗りの「ミドルホイールベース」、3人から8人乗りの「ロングホイールベース」など、さまざまな車種を展開。生産中には、中日本重工業が三菱重工へと再編され、ジープも三菱自動車で取り扱われるようになっていきます。
しかし、ジープを生産していた三菱自動車が、1982年に「パジェロ」を発売したことで、車種の大幅な整理がおこなわれました。
パジェロはジープと同じ四輪駆動を持ち、悪路での走行を得意とするクロスカントリー車であり、エアコンやパワーステアリングなどの快適装備を持ったクルマです。
それまでジープを使用していた自衛隊などでも、パジェロをベースにした「73式小型トラック」へと車種を変更しています。
その後、国産ジープは販売台数を減らし、最新の排ガス規制や衝突安全基準などの問題から、1998年に生産終了が決定し、2001年に販売が終了しました。最終的には20万台以上が生産されたともいわれています。
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ジープユーザーのなかには、自衛隊やアメリカ軍風のカスタマイズをおこなって楽しむ人もいるようです。中古車専門のサイトでは、1968年式のジープが「自衛隊仕様」として130万円で掲載されている例もあります。
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