パトカーや救急車とまさかの事故!? 過失責任は誰が重くなる?
緊急自動車側に責任が問われたケースとは…
過去の事例では、緊急自動車が減速せずに赤信号の交差点に進入したとして、過失割合が一般車両2割、緊急自動車8割といった緊急自動車側に責任が問われた珍しいケースもあったようです。
また、緊急自動車の無理な交差点進入により、それを避けた結果としてほかの一般車両と接触事故を起こした事例では、緊急自動車(国や地方自治体)の損害賠償責任が認められ、過失相殺の対象となったケースもあるようです。
つまり、サイレンが鳴っているなど当該車両が「緊急自動車」として認められている状況であれば一般のクルマの過失が多くなり、それ以外では普通の交通事故同様に、状況によって異なるといえるでしょう。
緊急自動車における事故について、ある地方の救急隊員は以下のように話します。
「いくら緊急時であれ、サイレンを鳴らしたり安全を心がけるという気持ちは変わりません。私どもの署では、ここ数十年で緊急車両における事故は起きていません。
しかし、本当に稀ですが、数センチハンドルを切っただけでまったく移動してくれないクルマがいます。その場合、危険ではありますが停車して直接協力を頼むことがあります。
急いでいるのは皆同じかもしれませんが、たった10秒の違いで誰かの運命を分ける可能性があります。法律でも定められている通り、サイレンの音が聞こえたら周囲を確認し、必ず緊急車両を優先してください」
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緊急自動車に遭遇した場合に取るべき行動は、原則として「左側によって停止する」が正解となります。しかし左側によることで緊急自動車の通行の妨げになる場合には、右側に寄って停止しなければいけません。
さらに、サイレンなどで緊急自動車の接近が予想できた場合には交差点への進入はNGとなり、場合によっては進路妨害の罰則を課せられることもあるようです。
しかし、緊急自動車側がサイレンを鳴らしていなかった場合でも、事故を起こしていいわけではありません。
緊急自動車の進路妨害には「緊急車妨害等違反」と「本線車道緊急車妨害違反」の違反があります。
緊急車妨害等違反は、道路交通法第40条の「緊急自動車の優先」や「消防用車両の優先」に反して、交差点などに進入し進路妨害をした場合に課せられる罰則で、反則金は「大型車7000円、普通車6000円、2輪車6000円」で違反点数は「1点」です。
本線車道緊急車妨害違反は、緊急自動車が本線を出入りする際に妨げた場合に課せられる罰則で、緊急車妨害等違反と同様の反則金と違反点数が課せられることになります。
緊急自動車に対しては「これくらいなら通れるだろう」などと個人的な判断はせず、いかなる場合でも左寄せで停止が基本行動となります。人命にかかわる緊急自動車は公道においては最優先されるべきクルマといえるでしょう。
以前、片側一車線で路側がほぼ無い道路にて、消防車が対向車線の200m先で本線に入ってきましたが、サイレンを鳴らしているのに消防車の前を走る路線バスが止まらず道を譲らないので、消防車がバスを追い越してきて自分と正面衝突しそうになりました。公務員の消防士と違って、田舎の消防団や路線バスの運転手は頭が不可思議な人も多いので注意が必要です。