軽自動車にGT-RのDNAが宿る!? 雪国仕様の日産「デイズ」が見せた驚きの走行性能とは
北海道でおこなわれた日産の雪上試乗では、「リーフ」などの電動パワートレイン搭載車やFR車、AWD車とさまざまなモデルを試しましたが、なかでも注目なのは軽自動車の「デイズ」です。自然吸気エンジンで4WDという雪国仕様のデイズの実力は、驚くべきものでした。
軽自動車「デイズ」は意外と雪道走行が得意だった!?
冬季はスタッドレスタイヤや各メーカー自慢の横滑り防止装置やAWDシステムの安定性・操縦性を体感するために、雪道/氷上などで滑りやすい「低ミュー路」での試乗が多くなります。
そのなかでも日産は、「リーフ」や「ノート/セレナe-POWER」などの「電動化パワートレイン」と低ミュー路との親和性も強くアピールしています。
内燃機関と異なり、モーターは流した電気の量に比例して駆動力を発生するため、応答遅れは基本的に存在しません。その特性を活かす1/10000秒単位でのトルク制御が、低ミュー路でも威力を発揮するというわけです。
日産の面白いところは、電動パワートレインの優位性を訴えながら、その一方で古典的な内燃機関モデルを用意している点です。
今回の雪上試乗では、FRの「フェアレディZ」「スカイライン」に加え、独立型トランスアクスルAWDの「GT-R」などが用意されていましたが、運転の楽しさや自分で挙動をコントロールする喜びは圧勝です。
どちらも車両重量は重いので無理は禁物ですが、雪上での舵の効きの良さや、わずかな荷重変化に対するクルマの反応などコントロール性の高さは舗装路面より解りやすく、とくにGT-Rは2020モデルへの進化で、よりしなやかになった足さばきと段付きのない滑らかなエンジンフィールを実感。「雪道で安心して楽しめるスーパースポーツ」という意味では、世界ナンバーワンだと思います。
そんななか、筆者(山本シンヤ)が注目したのは、上記のようなモデルではなく「デイズ」です。日産が初めて企画・開発を担当した軽自動車で、新しいエンジン/トランスミッション、プラットフォーム、運転支援システムなど「日産の持つ技術を全てつぎ込んだ」という意欲作となります。
オンロードでのハンドリングは、背の高さを感じさせないロールコントロールと路面をシッカリと捉える安心感の高い走り。ボディ剛性の最適化やロングホイールベース化も相まって、乗り心地も直進安定性も「軽らしからぬ」レベルに仕上がっているのは体感済みでしたが、今回の雪上で乗ってビックリしました。
試乗したデイズはNAエンジン(52馬力/60Nm)+Sハイブリッド(2.0kW/10Nm)の4WDと、雪国では定番となる仕様です。
今シーズンは全国的に積雪が少ないことがニュースになっていますが、北海道もその例に漏れず、圧雪された特設のクローズドコースは、スタート時こそ綺麗な路面だったものの、走行が進むと掘れてしまいザクザクの雪と大きなギャップと轍に加えて、雪の下に隠れていた路面が顔を出してしまうという状況でした。
まずは全開加速からフル制動を試します。デイズの車両重量は900kgなので、乗る前は「動力性能的に厳しいかな?」と思ったのですが、実際に乗ると必要十分を少し超えるくらいのパフォーマンスで雪道の抵抗をものとしません。
活発な走りをすると3000rpmから4000rpmを多用しがちなので若干やかましさを感じますが、音質がいいのであまり耳障りには感じません。ブレーキング時も非常に安定しています。
ここにレポートされている性能が、ほかのグレードでも保証されていれば買いでしょうが、ハイブリッド4WDなんて誰でもが買えるものじゃありませんからね。