軽自動車にGT-RのDNAが宿る!? 雪国仕様の日産「デイズ」が見せた驚きの走行性能とは

コントロール性の高さは期待以上!

 ハンドリングはパイロンスラロームでチェックします。全幅が狭く、全高が高いうえに、路面は凸凹ということで、「横転したら嫌だな」と1回目は慎重に走行するも、デイズは何事も起きないどころか、ノートを大きく超える軽快かつ安定した操縦性の走りを見せます。

雪道でグイグイ走る日産「デイズ」
雪道でグイグイ走る日産「デイズ」

 2回目はスピードを高めに進入してみましたが、印象は変わらないどころか、俊敏な身のこなしと軽くカウンターを当てての修正、アクセルで曲げるというコントロール性の高さを備えているのです。

 ハイトワゴンの大多数が「とにかく安定方向」という味付けが多いなか、デイズはそこにプラスαがあるのです。3回目は意図的にスライドさせながら走行してみましたが「操る楽しさ」まで感じたくらいです。

 そんな筆者の走行を見ていたのは、デイズの実験領域を担当していた永井暁さん。試乗を終えて戻ると、「山本さん、最初は慎重に走っていたでしょう? もっと踏んでもまったく問題ないですよ。そういうクルマに仕上げましたから」と、完全にバレていました。

 永井さんは、デイズの前はR35型GT-Rの開発に携わっていたエンジニアです。

「じつは『次は軽自動車の担当ね』といわれ、当初は『えーっ、なんで?』と思いましたが、やり始めると非常に面白いし奥深い。

 これまで軽自動車に乗ったことはありませんでしたが、それを逆手に取り、『それなら自分が欲しいと思う軽自動車を作ろう』という想いが生まれ、それをカタチにしたのがデイズです。

 軽自動車はボディサイズや排気量など、ギチギチのレギュレーションに沿ったなかでの開発のうえに、ユーザーは多種多様。

 おまけに販売価格も決まっているということで、ある意味、何でもやりたい放題のGT-Rとは違う開発の難しさがありましたが、4つのタイヤが付いている以上はGT-Rもデイズも同じです。そのカテゴリーのベストを目指しました」

 そんな永井さんの知見とこだわりが、デイズの走りの良さに繋がっています。GT-Rは自動車開発の聖地であるドイツ・ニュルブルクリンクで徹底して鍛えられたことで有名ですが、そのスピリットは永井さんを通じてデイズにも受け継がれています。つまり、「GT-RのDNAはデイズにも宿っている」といっていいでしょう。

 なかには「軽自動車にそんな性能はいらない」という人もいるかもしれませんが、筆者は多くの人が乗る軽自動車だからこそ重要だと考えます。

 極限状態で誰もが安心して走れるクルマ作りの結果が、日常域での楽しさや気持ち良さ、そしてクルマへの信頼に繋がります。それはGT-Rもデイズも変わりません。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1件のコメント

  1. ここにレポートされている性能が、ほかのグレードでも保証されていれば買いでしょうが、ハイブリッド4WDなんて誰でもが買えるものじゃありませんからね。

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