新型コロナ対策で車検証期間延長も自賠責切れどうなる? 災害以外で初の異例対応に混乱も
本来は自賠責保険が切れると最大で罰金50万円!
自賠責保険は「強制保険」とも呼ばれ、被害者を救済する目的で国が強制的に加入を義務付けている保険制度です。
任意で契約する自動車保険(任意保険)は、クルマや物などに対する補償がありますが、自賠責は「人」のケガの治療や死亡、後遺障害に対する補償を対象にした保険です。
自転車や歩行者はもちろん、相手のクルマの運転者や乗員にけがをさせたり、死亡させるなどした場合も自賠責保険の支払い対象となります。
車検延長期間分も保険切れの状態にはならないとのことですが、その間に事故があった場合、どんな手続きになるのか心配という人は、車検は受けずとも「自賠責保険だけ加入」することができます。その場合はどのような手続きをおこなえばいいのでしょうか。
神奈川運輸支局(横浜陸事)の目の前で自賠責保険にも対応する代書屋を営む、行政書士鈴木事務所に聞いてみました。
「自賠責保険に関して、多くの自動車オーナーは、ディーラーや整備工場などの業者に車検を任せているのが現状でしょう。
テレビやネットで盛んに宣伝したり、一括見積をすすめたりする自動車保険(任意保険)と違って、自賠責保険は諸費用と一緒にディーラーに納める車検手数料の一部という感覚を持っている人が多いかもしれません。
ですが、自賠責保険だけでもディーラーや損保会社で加入することは可能です。車検証とこれまで契約していた自賠責保険の証書があれば、クルマの購入や整備などで入庫していない、付き合いがないディーラーであっても自賠責保険の契約はできるはずです。
車検の有効期間が2年だとすると、プラス1か月余裕をもって契約していると思います。車検期間だけではなく、自賠責保険の保険期間も一度確認されると良いでしょう」
自賠責保険の契約期間を確認するとともに、保険切れが気になるようならば、最寄りのディーラーや自動車保険を契約している損保会社に聞いてみることをお勧めします。
また、自賠責保険の保険料や補償内容はどこの保険会社でも同じに設定されています。自分で加入する場合は、ディーラー、中古車販売店、陸運支局に近い行政書士事務所などでは確実に扱っているはずなので聞いてみましょう。
なお、原付やバイクの自賠責はコンビニやネットでも入れますが、自動車の自賠責保険はコンビニやネットでの扱いはありません。
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今回の車検期間延長措置(4月30日まで最大約2か月延長)では、自賠責保険も車検と同様の扱いになるので問題ありませんが、通常時に自賠責保険が切れていると大変なことになります。
自賠責は車検と同じくらい重要な制度なので、車検切れと同様に、自賠責保険切れも重たい罪になります。
たとえ事故を起こさなくても、自賠責保険に未加入でクルマを運行した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
また、自賠責保険に契約をしていたとしても、その自賠責保険(共済)の証明書をクルマに積まずに走行した場合、それだけでも30万円以下の罰金が科せられます。
無保険での運転は交通違反となり違反点数は6点です。即座に免許停止処分となるので、気を付けましょう。
今回の車検期間延長は、全国各地にある運輸局の混雑緩和を図るのが目的の道路運送車両法に基づく措置です。
これまでも、地震や台風の被災地で地域限定的に実施したことはあるそうですが、全国一斉に、そして災害以外の理由でおこなうのは日本の車検制度においては史上初となります。
「年度末となる3月は運輸局の窓口に申請が集中するため延長を決めた」(国交省)とのことでした。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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