誘導員の指示で事故発生!? その責任は運転手にある理由とは
警備員の責任も追求された例も。ポイントは「過失」の重大さ?
交通誘導中の事故はドライバーに責任がある一方、警備員の過失の程度が大きく、過失によって直接重大な結果が生じた場合などは、ドライバーだけでなく警備員も刑事責任を追及されることがあります。
2012年1月、当時水道工事がおこなわれていた現場で、警備員による交通誘導に従って右折したクルマが母親に続いて歩く児童に衝突し、事故の2か月後に児童が死亡するという事故が発生しました。
この事故では、警備員が母子に対して横断可能であると誘導した直後に、クルマを通行させるような誘導をおこなっていたといいます。
2013年3月に開かれた判決公判では、「(警備員とドライバーの)2人の過失が重なったことで死亡事故に発展した」と認定され、ドライバーだけでなく、警備員にも有罪判決が下っています。
なお、損害賠償責任など民事においても、ドライバーがその責任を免れることはできないでしょう。
しかし、先の判例のように、ドライバーの責任とは別に警備員のミスの内容や交通事故との関係、事故の状況などによっては、ドライバーのみならず、警備員についても責任が問われることは考えられます。
ドライバーと警備員のそれぞれに責任が認められる場合には、それぞれ被害者に対して損害賠償義務を負いますが、ドライバーと警備員との間については、過失の程度等によって負担割合が決められることになります。
また、警備業を営む会社の業務として警備員が交通整理をおこなっていた場合は、会社の使用者責任も問題となると考えられます。
警備員の誘導があっても、ドライバーは安全確認を徹底し、安全な通行を心がけなければなりませんが、警備員の誘導に法的な権限がないからといって、その誘導を無視するのは危険です。
警備員が配置されてる場所は「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所」であることを忘れず、警備員の誘導を確認した際には、ドライバー自身でも安全を確認しましょう。

交通事故は大小を付けられるものではありませんが、人の命が関わったケースでは、基本的なルール以上の判断がなされるようです。
なお、警察官による誘導ついては、道路交通法第6条の各項において、その権限として交通規制ができることが定められているだけでなく、同法第7条では「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない」と定められており、ドライバーは警察官の手信号などに従う義務があります。
警察官による手信号を無視すると、上記第7条に違反する「信号無視」となりますが、信号無視して人身事故を起こしてしまうと、危険運転致死傷罪(信号無視運転致死傷)に問われる恐れもあるのです。
Writer: Peacock Blue K.K.
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