キャンピングカーも多様性の時代!? ブームの影で変化するトレンドとは
クローラー車以外にも注目される「キャンピングカー」とは?
キャンピングカーショー2020では、1000万円を超えるモデルも多く展示されています。そのなかでも注目されていたのが「バハ・アドベンチャー4×4」です。
このモデルは、メルセデスベンツ「スプリンター」という商用バンをベースにしたバンコンで、スプリンターはドイツの「デリバリーバン」というカテゴリーに属する乗用車登録が可能な商用モデルです。
全長5930mm×全高1990mm×全幅2930mmという大きなボディですが、本国では4人乗り仕様しかないため、日本のニーズに応えて8人乗りシートに変更されました。
このシートは2列目、3列目がフルフラットになるバタフライシートで、さらに車両後部に2段ベッドを備えることで、計5人の就寝が可能です。
車内には、増設された夜間照明や車外で使えるレジャーシャワーなどを備え、より快適かつゴージャスに車中泊ができるというコンセプトで造られています。
しかし、同モデルの特徴は、従来のバンコンとは一線を画すビジュアルで、スプリンターは4WDモデルなので、より多くのロードクリアランスが確保されるため、2WDモデルよりも迫力が増しています。
さらにキャンパーに改造する際に、マッドテレーンタイプのタイヤを装着。そのフォルムは、まるで米軍のMRAP(輪装甲車輌)を彷彿とさせるもので、昨今の時流にのった、ヘビーデューティな雰囲気に仕上がっています。
搭載されるエンジンは3リッターV型6気筒ディーゼルのため、この巨体も軽々と動かしてくれますが、4WDはフルタイム方式で、あくまでもオープンデフのため、フラットダートや河原以上に荒れたオフロードには入り込まない方が良さそうです。
ちなみに、価格は1800万円越で、販売元のキャンピングカーオーゼットのスタッフによれば、「購入するのはフェラーリやランボルギーニなどに乗っている富裕層が多い」とのことでした。
さすがに「1800万円超えでは買えない…」という人には、ハイエースをベースにしたレクヴィ「ホビクル オーバーランド」というモデルも会場では目立っていました。なお、展示車両の価格は576万7000円です。
このモデルのコンセプトは「ライトなミリタリー」で、たしかに車内を見ると、採用されている装備品のすべてに、ミリタリーな雰囲気を感じます。
とくにシートのトリムには特別なものを使用しており、ミリタリーテイストを演出。つや消しブラックに塗装された剥き出しのパイプも、ヘビーデューティなイメージを増幅させています。
さらに外装も、デジタル迷彩のデカールが貼られていたり、JAOS製のフロントスキッドバーやRHINO製のルーフラック&リアラダーを装着することで、ミリタリー調を完全昇華させています。
レクヴィのスタッフは、このモデルをつくった意図を次のように語ります。
「昨今はキャンピングブームといわれていますが、ブームを支えているのが中高年男性のソロキャンプといわれています。
そうしたユーザーは、ミリタリーアイテムを好む傾向があるので、このモデルをつくってみました。ただ本物のミリタリーにするのではなく、あくまでもライトなミリタリールックというのがポイントです」
ライトとはいえ、クルマの内外から溢れる「男の道具感」は十分で、従来のキャンピングカーにはなかった新機軸の雰囲気をまとっています。
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このようにさまざまなモデルがラインナップされる昨今のキャンピングカー市場。自由の象徴のようなキャンピングカーは、かつては日本人の憧れのライフスタイルでしたが、いまや一般的なクルマのカテゴリーとなったようです。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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