ホンダが子どもに車を売る!? 園児向けにガチで作った車「相棒」とは
幼稚園児にホンダの本気を見せたい! 子ども達に向けた提案とは
AIBOUに関する資料では「子どもの秘密基地として、自分で操り、動き、外の出来事にふれて自分の世界を広げる楽しさを提供したい」と書かれています。
また、コネクテッド技術によって、動きながら家族や友達と心のつながりも広げることもできる、としています。そうした、「ファーストホンダ(初めてのホンダ)」がAIBOUなのです。
ホンダアクセス代表取締役社長の白土清成氏は「将来のホンダユーザーになっていただくため、こうした試みはとても大切」と、AIBOUが決してショーモデルではないことを示唆しました。
白土社長は、ホンダの2代目「N-BOX」の開発統括者を経て現職にあり、ホンダのクルマ作りに精通している人です。
今回のオートサロンで、ホンダアクセスのブースは、過去・現在・未来を表現。
過去は、1997年のEK9シビックを使った「シビック サイバーナイト ジャパン クルーザー2020」、現在は「S2000 20th アニバーサリー プロトタイプ」、そして未来を描くのがAIBOUの役目です。
AIBOUの周りには、小さい子ども連れの家族が、実際に子どもをAIBOUに乗車させている光景も数多く見られました。子どもたちは素直に喜び、ファーストホンダを満喫している様子でした。
一方で、AIBOUを真剣な目で見るスーツ姿のサラリーマンたちも大勢いました。近年、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という観点で、自動運転や小型移動車に関して産学官のさまざまな分野で議論が進んでいます。
そのなかで、子どもがクルマを使った自主的な移動についても考察されることがあるのですが、実際に子どもが公道で走行可能なクルマを自動車メーカーや自動車部品メーカーが提案することはありませんでした。
そのため、AIBOUに関して、多方面から関心が集まるのは当然です。
ここでキーポイントとなるのが、AIBOUを世に出す場合、どのような流通系統を使うかです。
ホンダアクセスのブース内で、同社関係者数人に聞いてみたところ「ディーラーのような一般的なクルマの販売ルートではないのではないか」、「販売ではなくシェアリングなどのサービスが向いているのではないか」という意見がありました。
ホンダは2019年4月に、それまでのモンパルを含むパワープロダクツ事業とロボティクス事業を融合させた、ライフクリエーションセンターを新設しています。AIBOUは、まさにホンダにおけるライフクリエーションの一部になり得ると感じます。
近いうち、AIBOUを実際に活用した社会実証をおこない、早期の量産化に結びつくことを期待したいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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