チェーン規制施行から約1年 正しい規制内容は認知されたのか
「チェーン規制」はどんな時に実際される?
従来、積雪・凍結している道路では、スタッドレスタイヤを履いていれば「安心」というイメージがあります。
その後、規制施行の影響などもあり「チェーンを履けば大丈夫」と認識されてきましたが、その過信は思わぬトラブルの原因となる可能性もあります。
万全と思われるスタッドレスタイヤ+タイヤチェーンでも起こり得る意外なトラブルとは、どのようなものなのでしょうか。
タイヤにチェーンを装着する場合、FF車(前輪)、FR車(後輪)というふうに駆動輪につけることが基本です。4WD車(AWD車)では、クルマによって装着位置が異なり、積雪地方に強いイメージのあるスバル車では、「チェーンは前輪装着とし、後輪には装着しないで」とアナウンスされています。
一方で、日産「GT-R」やスズキ「ジムニー」などは、「チェーンは後輪に装着」と説明。各社の4WD制御システムによって、装着方法は変わってくるのです。
一般的なイメージとして、「チェーン+4WD」という組み合わせであれば、雪道でも心配いらないと思われがちですが、これには意外なトラブルとなる要素が存在します。
それは、4WD車(AWD車)にチェーンを装着すると、前後タイヤのグリップ力がアンバランスとなり、不安定な状態になるということです。
積雪に慣れていないユーザーが過信した運転をすると簡単にスピンする可能性が高くなり、前輪にチェーンを装着した場合は前輪のグリップ力が高く、旋回時に後輪が流れスピンを誘発するのです。
チェーンを装着したことによる危険性について、スバルの開発担当者である新田亮氏は次のように説明します。
「1990年代のスキーブーム当時、チェーンを装着してハンドルを切った状態で発進するとクルリと回るという話が結構ありました。
とくに、物理的に見ても前輪にグリップ力の高いチェーンを装着し、後輪はそのままのノーマルタイヤだと4WDはスピンしやすい傾向です。
スバルでは、その後の車両やタイヤの開発において『チェーン装着』という部分も考慮して開発をしています。
スバルの4WDは、純正タイヤの雪上性能やチェーンの評価などを実施し、安心して雪道を走行できるように配慮しています」
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また、モデルやグレードによってはチェーン自体を装着できないクルマも存在。トヨタ「C-HR」の18インチタイヤを履くモデルでは、「タイヤとボディの隙間が狭いため、タイヤチェーンを装着できない」としているほか、欧州メーカーの一部でもチェーンの装着不可をうたっています。