令和に残れなかった日産車… 2020年に「○○周年」だった名車5選
50周年、60周年を迎えられなかった日産車とは?
●50周年のはずだった「チェリー」
日産初となる前輪駆動の小型車「チェリー」をつくり上げたのは、中島飛行機出身の旧プリンス自動車の技術者集団でした。
軽量かつコンパクトなボディで、欧州で主流となり始めたFWD方式を採用して1970年に登場したのです。
横置きエンジンに前輪駆動、コンパクトなボディですが、広い室内を獲得するという意欲的なコンセプトから生まれた画期的なクルマでした。
ボディはじつにコンパクトで、4ドアセダンのボディ寸法は、全長3610mm×全幅1470mm×全高1375mm、ホイールベース2335mmです。70年に2代目にモデルチェンジした同社の「サニー」に比べて200mm以上短いのですが、ホイールベースは逆に35mm長かったのです。
そのコンパクトさは、現在の軽自動車規格寸法である全長3400mm×全幅1480mmと比べると一目瞭然です。長めのホイールベースは、後席居住性確保に有効で、旧プリンス系開発陣が目指した「サニーよりもコンパクトでいながら、広い室内」を獲得するための設計でした。
1974年に2代目「チェリーFII」に生まれ変わります。ボディはかなり大型化し、全長3825mm×全幅1500mm×全高1315mmとなり、初代チェリーの強烈な個性だったシンプルでありながら強いボディスタイルは、影を潜めてしまいます。
当時、ほかの日産車においても囁かれていた「没個性的」なボディスタイルとなってしまい、1978年に後継車の「パルサー」のデビューとともに終売となりました。
●60周年のはずだった「セドリック」
「セドリック」は、トヨタ「クラウン」と共に戦後日本の高級セダンカテゴリーをけん引してきたクルマです。1960年のデビュー時こそ直列4気筒エンジンを搭載していましたが、その歴史は国産の2リッター直列6気筒エンジンの歴史であるともいえます。
1971年に登場した3代目セドリックには、日産の名機ともいえるエンジン「L型」が搭載され、国産車で初めてスポーティな4ドアハードトップが登場します。
ボディサイズは5ナンバー枠いっぱいの全長4690mm×全幅1690mm×全高1455mm、ホイールベース2690mmの国産フルサイズセダンとなりました。
1983年、それまでの伝統だった直列6気筒のL型エンジンに代わってV型6気筒「VG型」エンジンに換装した6代目が登場します。そのVG型も1995年に登場する9代目から新世代「VQ型」エンジンに換わります。
1999年に、最後のセドリックとなる10代目セドリックが登場。それまでの四角いイメージのエクステリアが一新され、一見コンパクトに見えるボディは全長4860mm×全幅1770mm×全高1450mm、ホイールベース2800mmとなりました。
しかし、セダンの人気低迷やライバルであるクラウンを超えることはできず、2004年に販売を終えました。
セドリックとともに「グロリア」が「フーガ」に統一され、現在に至ります。
※ ※ ※
日産車はかねてより、モデル発足後の「ブランドを育てる」ことに苦戦しているといわれ、今回ピックアップしたモデル以外にも消えた名車は多くあります。
例えば「ブルーバード」や「シルビア」、「サニー」、「パルサー」、「ローレル」、「セフィーロ」などです。
存続に対してシビアな傾向は現在も続いているようで、現行モデルでも生産終了が囁かれるモデルが複数存在します。
販売的な面では仕方のないことですが、かつて人々の生活に華を添えた名車たちが去ってしまうのは、非常に寂しいものです。
このタイミングでアレですが、(プリンス)スカイライン以外のブランドを潰したのはカルロス=ゴーンの仕事だったんじゃないかな?