楽しみ?ガッカリ?どうなる自動車業界!? 2019年に出てきた課題と2020年の希望
革新的エンジンと言われたスカイアクティブXや、高速道では手離し運転が可能となったプロパイロット2.0の登場など、革新的な技術も登場した2019年。今後の課題と希望がみえてきました。
変革期、自動車メーカーの課題も見えた2019年
トヨタの豊田章男社長が「自動車業界は100年に一度の変革期を迎えた」と言っている中、自動車ビジネスに対し消極的なメーカーも出てきたようです。そうしたメーカーは早くも販売台数を落とし始めてしまっています。新年を迎え、2019年に出てきた課題と2020年の希望を紹介してみたいと思います。
2019年で最も残念だったのはマツダです。まず「VWゴルフを抜いた!」とまで評され、鳴り物入りで登場したマツダ3が激しく伸び悩んでしまった。「素晴らしい技術」といわれたスカイアクティブX(圧縮着火エンジン)も、普通の2リッターエンジンより68万円も価格が高く不発。マツダブランドの販売は11月までの数字で対前年比91.7%と低迷してます。
振り返ってみると2019年はマツダにとって良い材料ばかりだったのです。マツダ3とCX-30という新型車を2車種発表。しかもアテンザとデミオを、それぞれマイナーチェンジした上、マツダ6とマツダ2に車名変更した。ニュースに溢れている状況の中での販売台数減は、打つ手無しということです。抜本的な緊急対策が必要だと考えます。
そしてマツダ以上に深刻なのが、三菱自動車かもしれません。ここにきて積極的な販売戦略を全く行わなくなってしまった。言うまでもなくクルマは楽しさを得たいから買うのです。三菱自動車のような消極的なメーカーからクルマを買おうという気になりません。2020年は心機一転、と書きたいところながら、ここまでヤル気がなくなっていると簡単ではない?
いわゆる「茹でガエル」(熱湯に入れたら飛び出すが、ジワジワ温度上げると茹だってしまう、という例え)状態になっているのはスバルです。コンパクトカーや新しいパワーユニットを「採算性悪い」と取り組んでこなかった。結果、2020年の燃費規制クリアが難しくなっている。2リッターターボエンジンは2020年で全廃となりました。
もっといえば、2020年規制ではスバル車の平均燃費20.3km/Lを達成しなくてはならないのだけれど、今のところクリア出来る車種が無い状態です。ハイパワーエンジン車どころか、アメリカで発売済みの新型レガシィさえ日本で販売出来ないようになってしまっています。かといってアメリカで販売している高価なPHVなど導入しても日本では厳しいでしょう。
自動車業界2020年は面白い1年に
2020年の明るいニュース筆頭は、クルマ好きにとって希望のブランドになりそうなGazooの動きです。トヨタはカンパニー制を取っており、当然ながらモータースポーツなどでお金を使いまくるGazooの旗色は良くない。豊田章男社長肝いりのカンパニーながら、赤字だと動きにくいのだろう。WRC関係者の渡航費用まで削減対象とか。
そのGazooは待望の新型車「GR-4」を登場させます。燃費の良いハイブリッド車が多いトヨタの場合、燃費基準を割り込んだモデルだって売れます。おそらく関係者一同が驚くほどの反応があり、販売目標台数の2万5千台(WRC車両のホモロゲに必要)は短い期間で達成されると思います。そしてGazooがトヨタのブランドイメージまで引っ張るハズです。
日産の復活も話題になるかもしれません。燃費の良いeパワー技術搭載車を続々投入することで燃費規制は余裕でクリア。電気自動車のスポーツモデルをラインアップさせ、次世代エネルギー対応しながら走る楽しさも追求可能です。事故防止効果絶大となる高機能運転アシストのプロパイロット2.0搭載モデルを増やしていくというのも好材料。
日産は社内人事やルノーとのアライアインス問題のため、春先までゴタつくかもしれないが、GW連休明けくらいから年末まで怒濤の新型車攻勢&新しい世代の日産をアピールしていくことでしょう。新型フィットにスポーティモデルを出せないほどワクにハマッてしまったホンダを横目に、トヨタvs日産の激しいバトルが見られるかもしれません。
そういった意味では2020年、けっこう面白い1年になると予想します。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。
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