スズキ新型「ハスラー」は買いか? ジムニーオーナーから見た軽SUVの進化

新型ハスラーは初代の弱点を克服しているのか?

 初代ハスラーの最大の弱点は乗り心地でした。路面からの突き上げが強く、後席に座ったときにとても強く感じます。

 スズキ本社営業担当者に聞いたところ、乗り心地に対するユーザーからの不満の声は、販売店や代理店を通じてスズキ本社にしっかりと届いたそうです。

スズキ新型「ハスラー」内装
スズキ新型「ハスラー」内装

 そのうえで、初代ハスラー誕生からこれまでの6年間で、サスペンションのゴム製品(ブッシュ)の改良や、ボディ剛性アップに対する措置など、大きく2回の改良を施したのですが、開発担当者によると「根本的な解決には至らなかった」といいます。

 それが今回、新プラットフォーム「ハーテクト」の採用や骨格構造の見直し、構造用接着材の改良などにより、ねじり剛性約30%アップ、曲げ剛性約20%アップを実現しています。

 その結果、開発担当者は「ボディが動かなくなった」と表現しました。路面からの入力に対してボディがしっかりしたことで、サスペンションの改良がしっかりとした成果に結びついたということです。

 複数のスズキ関係者によると「我々もここまで良くなるとは思っていなかった」と表現するほど、乗り心地とハンドリングがV字回復。具体的には「車線変更のスムーズさに驚いた」といいます。

 こうした走りの進化という点では、ジムニーも先代モデルと比べると、高速道路での操縦安定性が一気に上がるなど、V字回復を感じました。 

 もちろん、新型ハスラーとジムニーでは、走り味のセッティングの方向性が違いますが、大きな進化という点では、両モデルはいい勝負になるのではないでしょうか。

 パワートレインについては、新型ハスラーのターボ車はジムニーと同じR06A型エンジンを搭載していますが、新型ハスラーがはマイルドハイブリッドと最新型CVTを搭載しているのに対して、ジムニーのトランスミッションは改良型の4速ATと5速MTです。

 ジムニーが発売される前には、自動車雑誌やネット媒体ではマイルドハイブリッドになるという説が有力でした。

 しかし、「現実的には、機械式副変速機の搭載位置が課題。さらに、ジムニーらしい走りのあり方を追求した」(ジムニー開発者)というところに落ち着きました。当然、燃費では圧倒的に新型ハスラーが優位です。

 安全装備やカーナビ関連など、まだまだじっくり比較したいところがあるのですが、あくまでも試乗前という現時点で両モデルを比較した感想としては、商品性は違えどいいとこ勝負。

 ジムニーオーナーの筆者として、新型ハスラーは家族用として買い増しの検討材料になりそうです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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