【トヨタ20年ぶりの自社開発スポーツカー】新型「GRヤリス」の奥深い魅力とは

クルマと対話ができる? 走りの魅力とは

 新型GRヤリス(プロトタイプ)の試乗は、ターマックとグラベルの2か所。ターマックは市販に近いプロトタイプ(外装が新型ヤリスベース)です。

 グラベルのプロトタイプは外装が現行ヴィッツで、中身はすべてGRヤリスという初期のテスト車両に現在開発中のラリー用パーツ(強化クラッチ、クロスミッション、サスペンション)を加え、ラリータイヤを装着した特別なモデルとなります。

 どちらも試乗時間10分という短い時間でしたが、その魅力を直感的に感じることができました。エンジンは、小排気量ターボながらもターボラグを感じないフラットなトルク特性とレスポンスの良さ、そしてレッドゾーン(7000rpm)までストレスなく回る気持ち良さがあります。

 体感的には250馬力オーバー、350Nmオーバーの実力があると感じましたが、アクセルを踏んだときの応答性やツキの良さは2リッターターボエンジンを搭載するWRX STIを大きく超えていると思います。

 ストロークはやや長めで軽いタッチながらもカチッと決まるフィーリングの6速MTは、横置きMT最良といっていいかもしれません。

 ちなみにセンターコンソールにはiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)のスイッチがあり、今回は使用しませんでしたが、シフトダウン時にブリッピングもおこなってくれます。

 ハンドリングは、まず「軽さは正義」であることを実感しました。体感的には1200kg代後半といった感じでしょうか。

 ターマックは、ウエットな路面の上に低速かつRがキツいコーナーがメインのコースでしたが、セオリー通りに走る限りは4WDを感じさせない素直なハンドリング特性で、リアの安定性も非常に高いレベルと感じましたが、ウエット路面に関してはリアに対してもう少しフロントが粘ってくれると安心感は高まるでしょう。

グラベルを現行ヴィッツ(プロトタイプ)のボディで試走する様子
グラベルを現行ヴィッツ(プロトタイプ)のボディで試走する様子

 また、シートポジションはやや腰高に感じ、ターマックではもう少し低めに設定できたほうが一体感は増すと思いました。

 コーナー進入ではドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも可能な自在性を備えています。ただ、クルマ自体の限界がかなり高い所にあるので、円旋回をスライドしたまま繋げるにはドライバーの腕も要求されます。

 ちなみにドライブモードはノーマル(安定方向)、スポーツ(ノーズが入りやすい)、トラック(バランスの良さ)と、各モードの差は解りやすいと思います。

 一方、グラベルでは路面のグリップが低いので思い切って振り回して走らせることができましたが、ボディのカッチリ感と自分の手足の如く意のままに操れることにビックリです。

 コースはパイロンで作られた8の字レイアウトでしたが、1周を繋げて走らせることはもちろん、パイロンギリギリまで近づけられるコントロール性の高さ、そして絶対的なスピードは高いのにクルマの動きがスローに感じるくらいの余裕がありました。

 ただ、ダートで気になったのはペダルレイアウトで、普段は気にならないのですが素早い操作のときにアクセル/ブレーキの間隔がやや広い感じることです。クルマが良くなると細かい所が気になってくるのです。

 今回、両方のコースを走って解ったことは、基本は安定志向ですがドライバーの操作で引出しがたくさん用意されている、仮にドライバーが失敗したら失敗をシッカリ教えてくれる、つまり、「クルマとの対話」がしやすいことで、この辺りは「86」や「スープラ」にも通じるトヨタの「味」なんだろうなと思います。

 今回は性能の一部を味見した程度でしたが、正直に白状するとGRヤリスの持っている引出しを見つけるために「時間があればいつまでも乗っていたい」と思ったくらいです。

 もちろん、細かい部分で気になる所もありますが、現在も開発は続けられているようなので、市販時までに改善を期待したいところです。

 価格も多くの人が頑張れば手に入るプライスが予想され、2020年の正式発表が楽しみです。

 ちなみに筆者(山本シンヤ)は久々に直感的に「欲しい!!」と感じた一台であり、資金の目途さえ付けばぜひとも手に入れたいと思っています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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