なぜ市販車はダサくなる? コンセプトカーは格好良くても市販化で魅力が半減する理由

モーターショーで見たコンセプトカーはかっこよく思えても、市販車になると途端に魅力が半減してしまうことがあります。なぜそのようなことになるのでしょうか。また、コンセプトカーとはなんのためにあるのでしょうか。

がっかり?コンセプトカーと違う…

 毎年、世界中ではさまざまなクルマのショーイベントが開催されています。2019年には、東京モーターショー2019が開催され、会期中の来場者数が130万人を超えるほどの盛況ぶりでした。

 モーターショーには各自動車メーカーがコンセプトカーをお披露目するのが定番になっていますが、それらがいざ市販化されると、デザインの魅力が半減していることが多いです。なぜ、コンセプト時点では格好良くても、市販化されるとありふれたクルマになってしまうのでしょうか。

日産の次世代コンパクトカーとして2012年に公開されたノートのコンセプトカー「INVITATION」
日産の次世代コンパクトカーとして2012年に公開されたノートのコンセプトカー「INVITATION」

 モーターショーの主役となるのは、各自動車メーカーによって展示されたクルマです。そのなかには、すでに市販されているものもあれば、これから発売されるものもあります。

 そんななか、自動車メーカーが将来的なビジョンとしてお披露目するのが、コンセプトカーです。今回の東京モーターショーでは、日産「アリア コンセプト」やレクサス「LF-30」などは、現在のクルマの延長線上でありながら、市販車にはない前衛的なボディラインが魅力でした。

 一方、コンセプトカーの段階ではかっこよくても、市販車になるとその魅力が半減してしまうようなことも少なくありません。

 たとえば、日産が2012年のジュネーブモーターショーで発表したコンセプトカーは、コンパクトカーながらも流麗なラインが魅力でしたが、その後、新型「ノート」として市販化されると、どこかありふれたクルマになってしまいました。

 また、スバルが2013年のニューヨークモーターショーで発表した「WRXコンセプト」も、ロー&ワイドなスタイリングによって、まるでスーパーカーのような印象を与えましたが、2014年に発売された市販モデルでは、コンセプトカーほどのインパクトはありません。

 もちろん、どちらも市販モデルにはコンセプトカーの面影がないわけではないので、詐欺という言葉はいい過ぎですが、それでもファンをがっかりさせてしまったことでしょう。

では、なぜコンセプトカーと市販車でデザインが変わってしまうことがあるのでしょうか。

 大きな理由としては、市販車は法規対応とコスト面で制約があるという点です。

 コンセプトカーは、おもにモーターショーなどで展示されるショーモデルのため、当然のことながら公道走行は想定されていません。

 そのため、ヘッドライトやブレーキランプといった保安部品を各国の法規に合わせて対応する必要はないため、走行を前提としないショーモデルであれば、目に見える内外装の部分にのみ注力をすればよく、ラゲッジルームの使い勝手やエンジンの排熱といった部分はそれほど重要ではありません。

 また、自動車メーカーにとってもっとも重要なことのひとつは、原価の低減、つまりコストカットです。コンセプトカーは基本的には1台限りの特注品(ワンオフ)ですが、市販車は少なくとも数百台、多ければ数十万台を生産する必要があります。

 一般的に、大量生産をすればするほど1台あたりのコストが削減されますが、コンセプトカーのような流麗なラインは、ワンオフでは作れても大量生産をすることが技術的には難しいことが多くあります。

 とくに、コンパクトカーのような量産車は、消費者にとって車両価格が重要な要素であるため、できる限り安価に生産しようとすると、コンセプトカーのようにディテールまでこだわることは難しく、結果として「普通のクルマ」になってしまうことが多いのです。

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