なぜディーゼルにこだわる? マツダが国内のディーゼル車販売でトップシェアになった理由
ディーゼルと対抗するハイブリッド
メリットが多いディーゼルエンジンですが、弱点も存在します。振動と騒音の大きさに加え、最大の問題が排気ガス処理の面倒さです。
ディーゼルエンジンの排気ガスを、現代のガソリンエンジン並みにきれいにしようとすると、燃料供給や排気ガス処理のための特別な装置が必要になり、どうしても追加のコストがかかります。
逆にいえば、最新のディーゼルは、そこにコストをかけて排気ガスをきれいにしているので、わざわざ名称に“クリーン”と謳っているのです。
そのなかで、マツダのディーゼルエンジンのSKYACTIV-Dは、技術革新により燃焼そのものをクリーンにすることで、高価な処理装置を使用せずに優れた排出ガス性能を実現。また、低圧縮比による高効率燃焼で、燃費性能も従来に比べて20%改善しました。
このようなメリットがあり、多くのマツダ車にディーゼルエンジンが搭載されているのです。
一方で、ディーゼルエンジンの対抗馬として存在するのが、ハイブリッドです。ハイブリッドは、ガソリンエンジンにモーターと電池を組み合わせて、優れた燃費性能を実現します。
こちらも、普通のガソリンエンジン車よりも価格が高くなりますが、それでも燃費性能は抜群に優れます。また、低速度の走行ではモーター駆動を使えるので静かというのが美点です。
燃費に対する規制は年々厳しくなり、クルマの燃費性能を高めようとなると、従来のガソリンエンジンだけでは対応できません。そこで解決策として浮上したのがディーゼルエンジンであり、ハイブリッドだったのです。
そして、日本の多くの自動車メーカーが選択したのがハイブリッドで、その筆頭がトヨタやホンダです。
また、EVに力を入れる日産と三菱も、電動化技術を生かすということでハイブリッドを得意とします。そして、スバルも「e-BOXER」を搭載してハイブリッド路線を歩み始めました。
そんななか、日本ではマツダだけがディーゼルを選択。同じように欧州勢もディーゼルを選んでいます。
しかし、地球温暖化を防止するという観点から、世界中で燃費規制が厳しさを増しています。ディーゼルエンジンは燃費性能に優れますが、それでも、今後ますます厳しくなる規制には対応できなくなることが予想されています。
そのため、マツダも「この先は電動化する」と明言しています。電動化とはハイブリッドとEVを採用していくことを意味します。
2019年10月に開催された東京モーターショーで、マツダは同社初のEVとなるマツダ「MX-30」を発表しました。
また、マツダが新たに開発した次世代ガソリンエンジンと呼ばれる「SKYACTIV-X」には、マイルドハイブリッドのシステムが組み込まれています。マツダの電動化は、徐々にではありますが着々と進んでいるようです。
マツダと同じように欧州ブランドも最近ではPHEV(プラグインハイブリッド)を数多く発表しています。
東京モーターショーでメルセデス・ベンツは、ディーゼルエンジンをベースにしたPHEVの「E350de」を発表。ディーゼルエンジンのハイブリッドという選択肢も存在するのです。
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これまで厳しくなる燃費規制への対応は、「ディーゼルエンジンかハイブリッド」の二択でした。ところが、これからは「電動化」の一択になることが予測されます。
ただし、世の中のすべてのクルマがEVに代わってしまうまでは、まだまだ長い時間が必要です。その間に主流となるのは、はやりハイブリッドです。そこにはガソリンエンジンだけでなく、ディーゼルエンジンも組み込まれることでしょう。
つまり、まだまだガソリンエンジンとディーゼルエンジンは必要であるということです。ハイブリッドは、エンジンの性能も重要となります。
そうしたハイブリッド時代になったとき、マツダの内燃機関(エンジン)にこだわる姿勢は意味あるものといえるのではないでしょうか。
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