年末年始の運転は「眠気」がとくに危険!? 眠気解消の有効策とは?
クルマを長時間運転していると、眠くなることがあります。とくに行楽地への行き帰りなどで長距離を移動中、渋滞にハマってハンドルを握っていても生あくびばかり、なんてこともありますよね。そんな「ちょっと眠気で危ないな」なんて感じたときに試してほしい「眠気覚まし」とは、どのようなものなのでしょうか。
高速道路事故の「居眠り事故」の実情とは?
年末年始は、長距離ドライブの頻度が増加する季節です。しかし、幹線道路を淡々と走っているときに、眠気に襲われた経験を持つ人も少なくないのではないでしょうか。
長距離ドライブの眠気を解消するためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
高速道路に関する諸問題を調査・分析している公益財団法人「高速道路調査会」の研究レポートによると、高速道路での「前方不注意」による事故は約1万件の事故総数の半分近くにのぼるといいます。
さらに眠気や居眠りによる事故は、日本の警察の発表では全事故の1%とされているものの、高速道路調査会の文献調査によると欧州の居眠り事故は約16%から44%にのぼることから、日本の実態においても20%程度は居眠り事故に該当すると推測されています。
ちなみに17時間起き続けたときに感じる眠気は、ビール500mlを飲んだときとほぼ同じくらいの作業能力低下をもたらすことが、過去にネイチャー誌に掲載された実験により証明されています。
この「眠気」とは、そもそも人間が持つ「サーカディアンリズム」(24時間周期)と「サーカセミディアンリズム」(12時間周期)、「ウルトラディアンリズム 」(2時間周期)という3つの生体リズムに関連して、午前2時から午前4時と、午後2時から午後4時に眠くなるといわれています。
実際に、居眠り運転による重大な交通事故の多くは午前2時から午前4時の深夜に集中しており、その因果関係が報告されています。
そのほかにも、慢性疲労(疲労の蓄積)や一過性疲労(集中力の欠如)、光量の少ない曇りの日なども眠気の原因のひとつといわれています。
なかでも、ウルトラディアンリズムと呼ばれる2時間周期のものに関しては、単調作業を繰り返している場合に顕在化することも報告されており、渋滞時の単調な運転で眠くなるのは、この生体リズムが関連しているとされています。
では、運転時の眠気対策はどのようにおこなえばよいのでしょうか。高速道路調査会の研究レポートには、眠気覚ましに有効と思われる手法がいくつか解説されています。
まず挙げられているのは、短時間の仮眠です。15分から30分程度(ノンレム睡眠の第2段階)の仮眠が、眠気覚ましに効果があると報告されています。ただし30分以上の仮眠は「睡眠慣性」と呼ばれる寝ぼけた状態が生じるといい、注意が必要です。
またカフェイン摂取も効果的だということです。覚醒効果が現れるのは、摂取して以降少なくとも15分以上経過してからとなり、摂取目安はコーヒー1杯から2杯分程度(150mg)で問題ありません。
また、高速道路調査会の研究レポートでは、短時間睡眠+カフェイン摂取の合わせ技を推奨しています。安全な場所に駐車した後、カフェインを摂取して血中のカフェイン濃度を高めます。そして寝付くまでの5分と、短時間仮眠15分を合わせた20分程度の仮眠(休憩)が、眠気覚ましにおすすめだということです。
ちなみに、冷たい水を飲むことや体を動かす、ガムなどの咀嚼をはじめとした各種刺激は、持続性はないものの休憩できる場所までの対処療法としては有効といわれています。また、会話や音楽、喫煙なども適切におこなえば効果が期待できると報告されています。