なぜ支持される? 日本サイズで個性派! 進化し続ける人気の小型SUV3選

運転のしやすさが大きく変わる、エンジンフィールやインテリアの作り

 居住性と積載性にも注目しましょう。インパネの質感や前席の快適性は3車種とも優れていますが、後席には違いが見られます。

多人数乗車した際は後席の足元空間の広さが重要(写真はスバル XV)
多人数乗車した際は後席の足元空間の広さが重要(写真はスバル XV)

 身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、XVが握りコブシ2つ半、C-HRは2つ弱、ヴェゼルは2つ半です。XVとヴェゼルは後席も広く快適です。

 荷室はXVとヴェゼルでは余裕を持たせました。C-HRは外観のカッコ良さを重視してリヤゲートの角度を寝かせたので、背の高い荷物は積みにくいです。

 エンジンはXVが水平対向4気筒の1.6リッターと、2リッターのe-BOXER(ハイブリッド)を搭載しました。主力のe-BOXERには3種類のグレードが用意され、優れた燃費効率と併せて、実用回転域の駆動力も高めました。 

 たとえば2000回転前後で巡航中にアクセルペダルを緩く踏み増した時など、エンジンよりも反応の素早いモーターの駆動力が先行して立ち上がるため、ドライバーのアクセル操作に合わせて滑らかに加速できます。排気量に2リッターの余裕を持たせたので、高回転域の加速も活発です。

 C-HRは直列4気筒1.2リッターターボと1.8リッターハイブリッドを設定しています。1.2リッターターボは実用回転域の駆動力を高めて扱いやすいですが、車両重量は2WDが1400kg前後、4WDは1470kgに達するので、スポーティな性格のSUVとしては加速力が少し物足りないです。

 その点でハイブリッドはモーターの駆動力に余裕があり、パワフルとはいえませんが加速は滑らかです。ただし駆動方式の設定は、1.2リッターターボは2WDと4WDを両方用意していますが、ハイブリッドは2WDのみです。

 ヴェゼルのエンジンは直列4気筒1.5リッターで、ノーマルタイプ、ターボ、ハイブリッドを用意しています。排気量は1.5リッターですが、ノーマルタイプも直噴式です。車両重量は2WDが1200kg前後、4WDでも1270kgなので、パワー不足は感じません。

 ターボは当然ながらパワフルで、ノーマルエンジンの2リッターから2.2リッター相当の駆動力を発揮します。ターボの駆動方式は2WDのみですが、4WDも用意して欲しいです。ハイブリッドには4WDもあり、2組のクラッチを使う有段式7速ATを備えます。無段変速のCVTに比べると、メリハリのある変速が可能で、速度の微調節もしやすいです。ヴェゼルの発売当初は変速ショックが気になりましたが、今は改善されています。

ホンダ ヴェゼルツーリング
ホンダ ヴェゼルツーリング

 走行安定性は、各車種ともSUVの中では優れた部類に入ります。特にXVは全高を1550mmに抑え、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2670mmと長いので、直進時、カーブを曲がる時の両方で安定しています。AWDも優れた効果を発揮します。

 C-HRも足まわりがしなやかに伸縮して乗り心地も良好です。ヴェゼルはカーブを曲がる時に重心の高さを意識させますが、挙動の変化が穏やかに進むので不安は生じません。

 安全装備も見ておきましょう。XVは衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)の先駆的な存在とされるアイサイトを採用して、以前から歩行者、自転車、車両の検知を可能にしています。今は性能をさらに高め、後方の並走車両を検知して知らせたり、後退時の危険を防ぐ機能も用意しています。

 車間距離を自動制御したり操舵支援を行う全車速追従型クルーズコントロールには、新たにツーリングアシストの機能を加えました。先行車に追従しながら操舵を支援することが可能で、路上の白線を検知できない渋滞時でも、作動が中断されにくいです。

 このような綿密な運転支援も、ドライバーの疲労を軽減して安全性を高めます。先に述べたXVの優れた視界、さらにいえば後席の快適性も、車内の雰囲気を和やかにしてドライバーのストレスを抑えます。

 またXVは歩行者保護エアバッグも標準装着しています。自車の乗員だけでなく、周囲にいる人達すべての安全を考えて開発されました。歩行者保護エアバッグは、ほかの車種も採用して欲しい装備です。

 C-HRの衝突被害軽減ブレーキは、自転車の対応は今後の課題ですが、歩行者と車両は検知できます。後方の危険を検知する機能も採用しました。ヴェゼルの衝突被害軽減ブレーキも、歩行者検知が可能です。路側帯の歩行者と衝突する危険を検知した時には、ステアリングを操作して避ける機能も備えます。

 価格はXVにe-BOXER(ハイブリッド)とAWD、LEDヘッドランプや18インチアルミホイールなどを標準装着した充実装備の2.0e-Sアイサイトが税込287万1000円です。C-HRハイブリッドの2WD・Gで税込299万5000円です。
 ヴェゼルのハイブリッド4WD・Zホンダセンシングが税込298万186円です。

 このように見ると、XVは2リッターエンジンをベースにしたハイブリッド、AWDなどの機能を充実させながら、価格を割安に抑えています。ここで紹介したSUVは、いずれの車種も日本の道路環境に合っていて、機能と装備を充実させています。販売店の試乗車などを乗り比べて、購入する車種を判断されると良いでしょう。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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