初の軽スポーツはミニスーパーカー!? 昭和に活躍した後輪駆動の軽自動車5選

現在、軽乗用車といえば前輪駆動が一般的ですが、かつてはさまざまな駆動方式がありました。そこで、FF以外の駆動方式を採用した懐かしの軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。

さまざまな駆動方式があった昭和の軽自動車

 1955年、日本の国内経済成長を進めることを目指した、通商産業省(現在の経済産業省)の「国民車構想」が公になりました。

 この構想に合致したクルマを作ることは非常に困難とされていましたが、1958年に「スバル360」の発売によって現実化します。

 それ以降、各メーカーが軽自動車の生産に乗り出し、大衆車として全国に広まる過程のなかで、さまざまな軽自動車が生まれては消えていきました。

 これまで、ユニークな軽自動車が多数存在しましたが、駆動方式もバラエティに富んでいました。現在、軽乗用車ではFFが主流ですが、かつては各メーカーがさまざまな駆動方式を試しています。

 そこで、FF以外の駆動方式を採用した懐かしの軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「フロンテクーペ」

いま見てもスタイリッシュなスズキ「フロンテクーペ」
いま見てもスタイリッシュなスズキ「フロンテクーペ」

 スズキ「フロンテ」は、1962年に「スズライトバン」の乗用車版として登場したFF方式のセダンです。

 1967年に発売の2代目では駆動方式をRRに変更し、直列3気筒エンジンを搭載。同年にデビューしたホンダ「N360」とのパワー競争が勃発します。

 1970年にモデルチェンジした3代目では、RRのスタイリッシュな2ドアセダンに生まれ変わりました。

 さらに1971年には、ホンダ車との差別化のために、軽自動車初のスポーツカーとも呼ばれる派生車種「フロンテクーペ」がデビューします。

 フロンテクーペの低いフロントノーズと、傾斜したフロントガラスから続く小さなキャビンスペースは、まるでイタリアのスーパーカーを小さく縮めたようなデザインとなっていました。

 内装も6連メーターを備えたデザインで、スポーティさを演出。さらに37馬力のハイパワーな2サイクル直列3気筒エンジンのフィーリングは刺激的で、多くの若者を魅了します。

 1976年に、軽自動車の規格が550ccに移行したことで、フロンテクーペはキープコンセプトとした初代「セルボ」にバトンタッチされました。

 排気ガス規制の影響で出力は28馬力と控えめとなりましたが、フロンテクーペよりもワイドトレッドになったことで、スポーティな走りは健在でした。

●三菱「ミニカ」

スタイリッシュな軽自動車として評価された2代目三菱「ミニカ」
スタイリッシュな軽自動車として評価された2代目三菱「ミニカ」

 1962年にデビューした三菱「ミニカ」は、先に登場していた軽バンのパワートレインを流用して造られた4人乗りセダンです。

 当時はRRが一般的だった軽自動車のなかで、小型車と同様のFRとしたことで、リアシートの居住性とキャビンと独立したトランクスペースを持っていました。

 1969年にモデルチェンジされた2代目ミニカはボディが3ドアハッチバックとなり、FRであることを活かしてリアシートを前に倒して広い荷室がアレンジできるなど、軽ステーションワゴンとしての機能を持ったクルマとなります。

 初代の垢抜けしないスタイルからモダンな外観に変わったことに加え、水冷エンジン搭載車や、ツインキャブ装着により高出力化したグレードを追加するなど、他社とは違った高級感を漂わせていたのです。

 また、この2代目に設定されていたバンは、Cピラーを立てて大きな開口部のテールゲートとしたことで、後の軽ボンネットバンや現在のベーシックな軽乗用車の原型といえるスタイルを先取りしていました。

●マツダ「キャロル」

外観中身とも小型車を目指していたマツダ「キャロル」
外観中身とも小型車を目指していたマツダ「キャロル」

 1960年、マツダは「R360クーペ」で4輪乗用車市場に参入します。軽自動車は1人か2人での乗車が多いということで、軽量化のために2+2とし、1958年に発売されたスバル360と同等の車両重量380kgを実現。

 完成度の高い外観デザインで、スバル360と人気を二分しました。しかし、実質2人乗りのR360クーペは他社から続々と発売された軽自動車に対抗できなくなり、マツダは1962年に「キャロル」を発売します。

 キャロルは、1961年の東京モーターショーに出展したプロトタイプ「マツダ700」と平行して開発され、18馬力を発揮する水冷4サイクル直列4気筒OHVのオールアルミエンジンを横置きでリアに配置し、フロントにはトランクルームを備えていました。

 また、サスペンションも4輪独立懸架とされ、小型車並みのメカニズムを備えた本格的な乗用車として好評を博し、1963年にはリアシートの乗降性に優れる4ドア仕様を追加。

 しかし、軽自動車専用に開発されていなかったことでボディは重く、先進的だった4気筒エンジンもパワーの割に重くなってしまったことで、動力性能に大きな影響を与えました。

 さらに、ホンダ「N360」など室内が広いライバルが現れたことで販売は低迷し、1970年に生産を終了。

 なお、キャロルという車名は、現在もスズキ「アルト」のOEM車として残っています。

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2件のコメント

  1. フロンテはプラグ被りの常連でした。
    この加減を操る技量がマニアックと言うかバイクで言えばRZ250でしょうか?w
    MAZDAのキャロルは排気量ごまかしてんだろ?みたいな登録車に近い軽で日野のコンテッサのようなレイアウトに魅せられましたね。
    またFFではあるものDAIHATSUフェローなど2サイクルで他社の2サイクルより軽いエンジン音が印象的でした。
    ミニカは軽トラのミニキャブの乗用車仕様と言うかFRがもたらすメカニカルノイズが独特なもので2気筒エンジンとの演奏会のような車でしたね。

  2. 私が高1の時(勿論免許はナシ)私のすすめで(と言うか強引に)
    ミニカ70GSSを購入しました(笑)村上家に取っては初めての乗用車
    お袋が乗るのですが、余りにもスパルタン過ぎてエンジンもピーキーでよくプラグを被らせました(笑)
    高3で免許を取り半年ほど乗り回しましたが
    ゴーカートのように楽しい車でした(笑)
    イヤハヤ~それから40年未だにスポーツカーに乗っています(笑)

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