過去の産物「ターボタイマー」って知ってる? 死語となった車用語5選

ターボ車では必須だった行為があった!?

●デスビ

黒いコードが集まっているのが「デスビ」
黒いコードが集まっているのが「デスビ」

 1980年代までは、ガソリンエンジン車の始動不良や燃費悪化など不具合が起こると、真っ先に原因として疑われたのが電気系統のひとつ「ディストリビューター(Distributor)」です。

 ディストリビューターは分配器で、イグニッションコイルで発生した高電圧の電気を、各シリンダーのスパークプラグに適切なタイミングで供給するための部品として略して「デスビ」と呼ばれました。

 デスビの内部には、中心に「ローター」というイグニッションコイルからの電流を受け取った回転部品があり、それを覆っている「デスビキャップ」に繋がれたプラグコードから各気筒のスパークプラグに供給する構造です。

 ローターとキャップの電極は非接触ながら、回転しながら放電を繰り返す金属部品であるため、電極の摩耗(溶損)は避けられず、それぞれ定期的に交換が必要な部品でした。

 また、点火制御にコンピューターが使われる以前は、デスビには適切な点火タイミングを制御する役割がありました。

 現在ではエンジンコントロールユニットで点火を制御し、多くのエンジンで点火コイルが各スパークプラグに配置されたことでデスビが不要になり、メンテナンスフリー化が進みました。

●アフターアイドル

風車状の羽があるのが高熱になるタービン
風車状の羽があるのが高熱になるタービン

 ターボチャージャーはコンプレッサーの1種で、エンジンの排気でタービンを回転させ、その回転を利用してコンプレッサーが空気を圧縮し、大気圧以上の圧力の空気をエンジンの燃焼室に送り込むことで、高出力を得るというものです。

 タービンはエンジンの排気にさらされているので、高負荷時では表面温度が800℃以上になることがあります。

 高温になるターボチャージャーですが、その回転部分の潤滑はエンジンオイルを循環させることでスムーズな回転が維持されています。

 この軸受を保護するため、かつては連続高速走行時や登坂走行などの直後はエンジンをすぐに止めてはいけないとされていました。

 これは、軸受のオイルの循環が止まるためで、高温のタービンの影響でオイルの焦げにより「スラッジ」と呼ばれる物質が、軸受で生成されないようにするためです。

 スラッジがタービンシャフトの回転部分に付着してしまうと、タービンの回転が鈍くなることによるスロットルレスポンスの低下や、適切な過給が得られなくなりパワーダウンを招くことがあります。

 それを防ぐために、高負荷走行の後は一定時間アイドリングすることが推奨され「アフターアイドル」と呼ばれました。

 エンジンオイルをタービンシャフト周辺の温度が下がるまで循環させることで、スラッジの発生を抑え、ターボチャージャーの能力を維持するものです。

 1980年代から1990年代初頭のターボ車は、取り扱い説明書にもアフターアイドルをするように書かれていたほどです。

 クルマから早く離れたいドライバーのためには「アイドリングタイマー」や「ターボタイマー」と呼ばれた、イグニッションをOFFにしてキーを抜いても、設定時間内はエンジンを回し続ける社外品パーツも多く販売されていました。

 現在ではオイルとターボチャージャーの軸受の性能が向上し、アフターアイドルは不要になりました。そもそも、ターボ車でもアイドリングストップする時代ですから、高速走行後でも気を使うことはありません。

※ ※ ※

 今回取り上げた5つの言葉を聞いて、懐かしいと思った人が多いのではないでしょうか。

 RV以外の言葉は、すべて技術的な進歩によって消えていった言葉やモノです。

 おそらく、いま当たり前のようにクルマに搭載されている装備も将来的に消えて、死語になる運命にあるでしょう。

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