トヨタの敵はトヨタ? 他社を圧倒する新車シェア率を誇れる理由とは

国内の新車市場では、トヨタ(レクサス含む)のシェア率は半数近い47%です。販売台数ランキングにおいても上位の多くをトヨタ車が占めています。そんななか、最近では「トヨタ 対 トヨタ」という同じブランド内での競争関係が生まれているようですが、じつはこの図式がトヨタの強みだといいます。いったいどういうことのなのでしょうか。

トヨタの強みは「トヨタ対トヨタ」図式だった?

 2019年1年から9月に日本国内で売られた小型/普通車の内、トヨタが占める割合は、レクサスブランドを含めると47%に達します。

 今は国内市場で販売されている新車の37%が軽自動車なので、これを含めるとトヨタのシェアは30%ですが、小型/普通車市場では圧倒的に強いです。なぜトヨタはここまで高いシェア率を誇るのでしょうか。

同じトヨタのSUVがライバル車? 新型「RAV4」と「C-HR」の関係性とは
同じトヨタのSUVがライバル車? 新型「RAV4」と「C-HR」の関係性とは

 トヨタがここまでシェアを広げた背景には、小型/普通車市場における他メーカーの弱体化もあります。たとえばホンダの場合、軽自動車の「N-BOX」などのヒットもあって、最近では国内販売台数の約50%を軽自動車が占めます。

 そうなれば小型/普通車の割合は下がります。また、日産も軽自動車比率が34%に高まり、三菱では半数を超える55%です。

 他メーカーの軽自動車比率が増えて、軽自動車に頼らないトヨタの小型/普通車市場における支配力が強まった面もあります。

 そしてトヨタの1人勝ちが進むと、トヨタ車同士で競争関係が生まれます。トヨタブランド内の販売事情について、カローラ店の営業担当者は、次のように説明しています。

「売れ筋ミニバンの『ノア』が値引きなどで競争する相手は、兄弟車の『ヴォクシー』が圧倒的に多いです。次が日産の人気ミニバン『セレナ』です。

 ホンダのミニバン『ステップワゴン』とは、ほとんど競いません。トヨタのコンパクトミニバン『シエンタ』も、トヨタのほかの販売系列が扱うシエンタとの競争が多くなり、その次がホンダのコンパクトミニバンの「フリード」と競っています」

※ ※ ※

 ほかのメーカーが軽自動車に力を入れた結果、小型/普通車では「トヨタの敵はトヨタ」の図式が明確になります。

 その結果、トヨタから新型車が発売されると、今まで人気の高かったトヨタ車の売れ行きが下がります。直近では2019年4月に新型SUVの「RAV4」が発売されて、同じトヨタのコンパクトSUV「C-HR」の売れ行きが下がりました。

 C-HRはもともと外観の個性が強く、実用性よりも趣味性が重視される商品です。従って発売直後にユーザーの購買意欲を刺激して売れ行きを一気に伸ばし、その後は急速に落ち込みました。

 時系列で説明すると、2016年12月にC-HRが登場して、2017年では登録台数の1か月平均が約1万台に達しましたが、2018年には6400台へ急落しています。

 この後、2019年4月にはRAV4が発売され、C-HRのターゲットユーザーはさらに奪われました。2019年4月から9月の1か月平均は4200台です。

 前年の同時期と比べても31%減り、C-HRが発売されたときの1か月の販売目標は6000台だったことから、今後テコ入れを積極的におこなわないと、目標に到達できません。

 一方のRAV4は、2019年4年から9月の1か月平均が6500台を超えました。RAV4の1か月の販売目標は、3000台となりC-HRの半数ですが、現時点のRAV4の売れ行きはC-HRの1.5倍です。

 RAV4が好調に売れる一番の理由は、商品の特徴と市場のニーズがタイムリーに合致したことです。過去を振り返ると、乗用車のプラットフォームを使うSUVは、1990年代の中盤に普及を開始しました。今では20年以上を経過して、小型/普通乗用車の20%を占める人気のカテゴリーに成長しています。

 普及が進んだ代わりに、最近のシティ派SUVには、飽きられる傾向も見られます。トヨタ「ハリアー」、マツダ「CX-5」、ホンダ「ヴェゼル」などの車種が増えて、シティ派感覚をさらに強めたC-HRも存在し、飽和状態に陥ったからです。

 その半面、SUV本来の悪路指向を意識させる車種は、大幅に減りました。後輪駆動ベースのSUVは、三菱「パジェロ」が廃止されて同クラスはランドクルーザーシリーズのでです。

 日産「エクストレイル」は、前輪駆動ベースの4WDながらもオフロードのイメージを感じさせますが、現行型はシティ感覚を強めて今では設計も古くなりました。

 SUV市場にこのような閉塞感が生じたとき、ちょうど良いタイミングで登場したのがRAV4です。ボディは大柄で日本向けではありませんが、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)が190mmから200mmのボディを含めて悪路指向を感じます。

トヨタVSトヨタのガチンコバトル! トヨタの人気モデルを画像で比較!

【2024年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

2件のコメント

  1. トヨタの自動車単位なら大した車なんて無いのにね、市場を甘く診た証しにトヨタはレクサス拠点を都心中心に展開しただけだし、これが輸入車に追い付けない理由だろうね。
    メルセデスにしても地方の国道など平均に散らばって店は配置されてるし敷居だって高くない、もはや車選びではなく税制選びの後ろに車が付いてくる時代なので製品云々は完全に蚊帳の外の話なんだろうね。
    輸入車ですらトヨタ生産方式に因んだ生産方法で乗り手に何を届けたいかが不明な時代に自分で運転制御する価値観は衰退する一途だろうね

  2. シェア率=市場占有率率

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー