スバル新型「レヴォーグ」は攻めたデザイン! 最新技術を集結したパフォーマンスワゴンに進化
動力性能と低燃費を両立する新開発の1.8リッター直噴ターボエンジン
スバルは、2021年までに世界生産の約8割をダウンサイジングターボにすると発表していますが、新型レヴォーグのパワートレインは、北米向け3列シートSUVの「アセント」に搭載される2.4リッター直噴ターボに続くダウンサイジング第2弾となる1.8リッター直噴ターボを搭載します。
性格的には現行の1.6リッター直噴ターボの後継ですが、いままでのエンジンとは関連性のない新開発のユニットで、動力性能と燃費を高次元でバランスさせるために、リーンバーン(希薄燃焼)をはじめとするさまざまな技術が投入されているそうです。
トランスミッションについてはリニアトロニックを継続採用するようですが、新エンジンに合わせて大きく改良。AWDシステムも詳細は明らかになっていませんが、新たに面白い仕掛けを仕込んでいるそうです。
現行モデルには300馬力/400Nmを誇る2リッター直噴ターボエンジンもありますが、この後継ユニットについて、五島氏は次のようにコメントしています。
「将来のことはいえませんが、ひとつだけいえるのは『スバルのスポーツモデルにはターボは外せない』ということです」
プラットフォームは「SIシャシー」に別れを告げ、「インプレッサ」から採用されている「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」になりますが、新型レガシィから採用のフルインナーフレーム構造となる「進化版」になります。
フルインナーフレーム構造を採用することで、リアの大きな開口部で、剛性的に不利なワゴンボディながらボディ剛性を更に向上。土台がシッカリしたことでサスペンションのチューニングもしやすくなり、操安性と乗り心地のバランスは現行モデルよりも各段に良くなっているそうです。
「実際に乗ると、『スポーツ』の領域を超え、『パフォーマンス』の領域のレベルに来ています。この辺りは低重心、低い車高という基本素性の良さも活きており、SUVとは違うレヴォーグ独自の走りを構築できたと自負しています」(五島氏)
注目の安全支援システムは「新世代アイサイト」へと進化しています。現行モデルよりも広角化された新型のステレオカメラ(車内からガラス貼り付けタイプに変更)に加えて、前後合わせて4つレーダーを用いたセンサーフュージョン式を採用。
360度センシングよる見通しの悪い交差点での出合いがしらや右左折時までプリクラッシュブレーキの作動範囲が拡大されています。
さらに、新開発の高精度マップ&ロケーターを組み合わせることで道路形状をクルマがリアルタイムで把握し、高速道路でのカーブ前減速や渋滞時のハンズオフといった高度運転支援も可能になっています。
さらにスバルがもっとも遅れていた分野である「繋がる技術」に関しても抜かりはなく、万が一の大きな事故ではクルマから自動で警察や消防へ通報や緊急時にボタンひとつでコールセンターに繋がるコネクテッドサービスをスバルとして国内初採用しました。
今回の進化を見ていくと、現行モデルのレヴォーグが初代レガシィから数えて「25年目のフルモデルチェンジ」としたのに対し、新型レヴォーグは「30年目の全面刷新」と呼んでもいいのかもしれません。
「新型レヴォーグは、スバルが提唱し続けるグランドツーリング(GT)思想である、『より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に』を継承するのはもちろん、先進安全や1.8リッター直噴ターボ、進化したSGPなどにより革新させています。
今回お披露目した内容は、全体の3割程度です。新型レヴォーグには、まだ多くのことを仕込んでいますので、それは追ってお知らせしたいと思っています」(五島氏)
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新型レヴォーグは、2020年後半に発売されるとアナウンスされましたが、このタイミングで世界初公開された理由について、五島氏はこのように説明します。
「スバルが現在持つ技術の全てを盛り込んだので、造り込みは総力を挙げて慎重におこなっています。さまざまなシステムは試験車で確認しているものの、スバルの強みはリアルワールドでの走り込みによる『信頼性』と『人間の感覚』を大事にしています。最後はこのクルマでテストをおこなう必要があるので、今回はお披露目したことでやりやすくなるかもしれません」
これまで世代交代のタイミングもあり、他社に対して、コネクティッド領域でやや乗り遅れていた感があったスバルですが、筆者(山本シンヤ)は新型レヴォーグの登場により「新世代スバル」の方向性が明確になったような気がしました。それを実感するためにも、早くステアリングを握ってみたいです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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