トヨタ「プレミオ」も廃止か!? 約20年の間に日本のセダン市場に何が起きたのか

近年、日本の自動車メーカーによるセダンの車種ラインナップの整理が話題となっていますが、セダンの廃止は決していまに始まったことではないといいます。いったい、どのような状況なのでしょうか。

かつては人気だった小型セダン いつから活気がなくなった?

 トヨタ「マークX」と日産「ティアナ」が、2019年中に廃止されることになりました。トヨタ「プレミオ/アリオン」も、現行型は2007年の発売なので、このまま変更を受けずに廃止される可能性が高いです。

 ただしこうした流れは、いまになって始まったわけではありません。セダンのリストラは昔からおこなわれていたというのですが、いったいどのような状況だったのでしょうか。

トヨタ「プレミオ」
トヨタ「プレミオ」

 トヨタ「マークII/チェイサー/クレスタ」のような姉妹車の統合や、「セルシオ」などトヨタブランドからレクサスブランドに切り替わった車種を除いても、今まで数多くのセダンが廃止されました。

 比較的記憶に新しい2000年代の廃止だけでも、日産「プリメーラ」(2005年)、ホンダ「インテグラ」の4ドア(2001年)、トヨタ「プログレ」(2007年)、トヨタ「アベンシスセダン」(2008年)、三菱「ギャラン」(2005年)などが挙げられます。とくに、小型から中型程度のボディを持つセダンで目立つ状況です。

 かつては人気の高かったセダンに変化が見られ始めたのは、1996年に発売された11代目のトヨタ「コロナ」からでした。このモデルでは車名が「コロナプレミオ」に変化しています。なぜ車名を変更したのか、当時の報道試乗会でトヨタの開発者は次のように説明しました。

「プレミオとは、優れていることを讃える賞、といった意味です。どのような時代でも、優れたセダンを求めるお客さまは存在すると思います。コロナプレミオは、そこに焦点を当てて、妥協のない開発をおこないました。

 たとえば、優れた走行安定性と快適な乗り心地、余裕のある動力性能と良好な燃費、世界トップ水準の安全性(4輪ABSや運転席・助手席エアバッグの全車標準装着)と割安な価格という具合に、両立が難しい新たな課題に取り組みました。そこで、車名もコロナプレミオに改めました」

 開発側としては、コロナを取って「プレミオ」にしたかったようですが、営業部門が知名度の高いコロナを維持することにこだわり、コロナプレミオで落ち着きました。

 そして、次におこなわれた2001年のフルモデルチェンジで、いよいよコロナをはずして車名がプレミオになりました。このときには、トヨタ「カリーナ」も同時期にフルモデルチェンジされ、車名をアリオンに変えています。従来からコロナとカリーナは基本部分を共通化していましたがプレミオ・アリオン以降は共通性が一層強まりました。

 プレミオ/アリオンでは、クルマの造りも大幅に変更しています。5ナンバーサイズを維持しながら、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を一気に120mm拡大して2700mmまで伸ばし、後席の足元空間と4名乗車時の居住性を格段に向上させました。

 さらに、後席にもリクライニングと折り畳み機能を採用しています。セダンでもゆったりと乗車して、大きな荷物を積めるように配慮しました。ミニバンやワゴンに乗り替えなくても、それに見合う機能が得られるように工夫したのです。

 コロナプレミオ/プレミオの開発者は、売れ行きが次第に下がっていく状況に危機感を抱き、車名の変更を含めて、当時から対策を講じていたのです。

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