市場を開拓した先駆者だったのに! 後発車に負けたクルマ5選
国産車の中には新しいジャンルを開拓したエポックメイキングなクルマが少なくありません。しかし、ヒットしながらも、後発のクルマに抜かれてしまったモデルも存在します。そんな後出しジャンケンに負けたクルマを5車種紹介します。
後発のクルマに負けてしまったクルマたち
これまで販売されたクルマのなかには、新しいジャンルを開拓したエポックメイキングなモデルが存在します。
しかし、先に出てヒットしたはずなのに、後から出た同ジャンルのクルマに抜かれてしまうことも多々あります。
そんな、後出しジャンケンに負けたクルマを5車種ピックアップ紹介します。
●ホンダ「ストリーム」
1994年10月に登場し、瞬く間にベストセラーミニバンに上り詰めたホンダ「オデッセイ」でしたが、次の一手として、より低床・低全高で5ナンバーサイズのミニバン「ストリーム」を、2000年10月に発売します。
全長4550mm×全幅1695mm×全高1590から1605mm、ホイールベース2720mmのコンパクトなボディは、狭い道が多い都市部の住宅地でも取り回しがよく、発売からわずか10か月で10万台以上を販売するヒット作になりました。
特徴的だったのはパワートレインで、上級モデルに搭載した新開発の2リッター直列4気筒DOHC i-VTECは、ミニバンらしからぬ高回転型エンジンで最高出力153馬力を誇り、クラス初の5速ATが組み合わされ、優れた動力性能を発揮。
そして、ストリームは2000年-2001年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を得ます。
ところが2003年1月にコンセプトやボディサイズを完全にコピーしたモデル、トヨタ「ウィッシュ」が登場すると、スポーティなミニバン市場を席巻します。
ホンダは2003年9月にストリームをマイナーチェンジしてテコ入れを図り、テレビCMでは「ポリシーは、あるか」というキャッチコピーで挑発するも、トヨタの販売力に惨敗しました。
●日産「エルグランド」
1997年5月にデビューした初代日産「エルグランド」は、国内最上級の日産のフラッグシップミニバンとして開発されました。
ボディサイズは全長4740mm×全幅1775mm×全高1940mmから1945mmと、当時の国産ミニバンでもっとも大きく、高級ミニバン市場を切り拓いたモデルです。
日産のなかでも商用ワンボックス車から派生したキャブオーバー型の「バネット ラルゴ」や「セレナ」ではなく、初めてミニバンと呼べる正統派モデルで、最上級モデルにはVG33型3.3リッターV型6気筒エンジンを搭載。2000年のマイナーチェンジでは、さらに排気量をアップした3.5リッターV型6気筒エンジンのVQ35型に換装されます。
ハンドリングが素直だとされる後輪駆動を採用しており、FFベースのライバルに対する優位性を示していました。加えて、それまでの国産ミニバンにはない豪華装備を採用し、上級グレードには本革シートも用意されるなど、高級ミニバンをアピールします。
初代エルグランドは2002年5月に2代目へ引き継がれますが、5年間で20万台を超えるセールスを記録したヒット作でした。
この状況を見ていたトヨタは2002年5月、エルグランドのモデルチェンジに合わせて、国内専用モデルの高級ミニバン「アルファード」を投入しします。
このアルファードの登場で、最上級ミニバンの勢力図が塗り替えられ、現在まで、「アルファード」と、後に登場した姉妹車の「ヴェルファイア」が、ともに強面で押し出し感の強いフロントフェイスを武器に、高級ミニバン市場を席巻することになります。
●スズキ「ワゴンR」
1993年9月、軽自動車規格のなかで最大級のスペースユーティリティを得るためにデザインされたハイト系軽ワゴン、スズキ「ワゴンR」が発売されました。
全高を1690mm(RXグレード)とすることで頭上空間をたっぷり取り、開放感を得るという手法は新しい試みではありませんでしたが、ワゴンRは当時ブームになり始めていたミニバンを意識した、短いノーズを持ったスクエアなボディスタイルで登場。
広い室内空間だけでなく、可倒式リアシートを倒すとフラットで背の高い荷室が得られたほか、運転席座面の高さも適切に設計され、シートに腰を降ろすという乗用車感覚を捨て、腰を移動して運転席に着く感覚の乗降性のよさも好評となります。
また、運転席は30mm助手席側にオフセットして配置し、違和感のないドライビングポジションを実現していました。
ワゴンRはドア配置も独特で、フロントは普通の運転席&助手席ヒンジドアですが、リアドアは助手席側のみに設置され、あとはリアゲートという変則4ドアハッチバックレイアウトでした。
エンジンは当初は55馬力のNAエンジンのみで、トランスミッションは5速MTと3速ATを用意し、4WDモデルもラインナップされました。
デビューするとたちまち大ヒットとなり、大人の男が乗れる軽自動車として幅広い顧客の支持を得ます。
1995年にはターボモデル、1996年には5ドアモデル、1997年には全幅を拡大して1リッターエンジンを積んだ「ワゴンRワイド」も加わります。
ライバル各社は黙って見ていたわけでなく、同様なコンセプトのモデルを次々に発売。ハイト系ヒンジドアワゴンは、現在でもワゴンRをはじめ、ダイハツ「ムーヴ」、ホンダ「N-WGN」、日産「デイズ」などがあり、軽自動車のひとつのカテゴリーとして確立しています。
そして、ワゴンRが独占していた市場は、各社で分散されてしまいました。
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