なぜホンダが究極の音響機器を開発? 車・バイク以外の分野でもこだわる技術者魂の凄さとは

ホンダは、オーディオ機器向けの蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500 for Music」を発表しました。なぜ自動車メーカーのホンダが、音楽関連機器を開発したのでしょうか。

ホンダが独自技術を活かした究極のオーディオ向けバッテリー発売

 ホンダは、オーディオ機器に特化した蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500 for Music」を2019年10月17日に発表しました。発売は2020年2月中旬を予定しています。

 クルマやバイクのメーカーとして有名なホンダが、なぜオーディオ関連機器を開発したのでしょうか。

ホンダが開発したオーディオ機器向け蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500 for Music」(写真はプロトタイプ)
ホンダが開発したオーディオ機器向け蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500 for Music」(写真はプロトタイプ)

 ホンダが発表したリベイドE500 for Musicは、同社がすでに販売している「リベイドE500」に改良を施し、オーディオ機器の電源に適する仕様とした大容量のリチウムイオンバッテリーです。200台の限定販売となり、応募多数の場合は抽選となります。

 ところで、クルマやバイクの製造をおこなうイメージの強いホンダが、なぜオーディオ用途で使われる蓄電機を開発したのでしょうか。ホンダの広報担当者は次のように説明します。

「開発をおこなった背景には、リベイドE500のユーザーアンケートで、オーディオファンから『オーディオ用途で使うと良い』という声が寄せられたことが要因としてあります。

 リベイドE500の利用用途を、モニター応募で利用したユーザーと購入したユーザーそれぞれに聞いたところ、モニター応募では、オーディオ用途で用いると答えたユーザーが4%だったのに対し、購入者アンケートでは6%に増加するという結果となりました。

 また、アンケートの自由記入欄でオーディオファンから熱量のあるメッセージが寄せられたことから、今回の開発がスタートしたという経緯があります」

※ ※ ※

 多くのオーディオファンにとって、家庭用コンセントの電源で高級オーディオ機器を駆動することは、じつは望ましくないといいます。都内のオーディオ機器取扱店のスタッフは、次のように説明します。

「一般的な使用では問題ないのですが、家庭用電源にはノイズがかなりのっていることが多いのです。そのため、家庭用電源を使うと、オーディオ機器本体にもノイズがのってしまうので、音質は悪化します。

 バッテリー駆動をおこなうとクリーンな状態で使うことができ、不要なノイズを遮断できます。愛好家の間では『クリーン電源』と呼ばれているものです。そのため、どのオーディオ製品でも電源は非常に重要です」

 じつは、リベイドE500はベースモデルの発売直後から、一部のオーディオ愛好家が運営するブログなどで、「オーディオ向きではないか」と評価する声がありました。

 外部のノイズが乗らない「クリーン電源」であるうえ、ホンダ独自開発のインバータユニットが理想的な正弦波を生み出すからです。「もともとリベイドE500は素性が良かったですね」とホンダの広報担当者は語ります。

 そして、ホンダはオーディオに特化したリベイドE500 for Musicの開発にあたり、有名オーディオ部品メーカーの部品を多数採用。

 電源ケーブルには、導電率102.3%IACSを誇るオヤイデ電気製の精密導体「102 SSC」を採用するハイグレード配線材を、コンセントにはハイエンドオーディオコンセントで知られるフルテック社「GTX-DNCF」を用いました。

 また、コントロールパネルは振動を徹底的に抑えた専用設計で、さらに筐体内全面に電磁波シールドを施すことで、空中から電磁波として飛来する放射ノイズの対策もおこなって、ベースモデルよりさらにノイズを抑える設計としています。

 開発にあたって、音質の聴き比べについては「開発チームのスタッフだけでなく、チーム外のオーディオファンにも意見を聞きながら、性能を向上させていきました」(ホンダ広報担当者)といいます。

 ものづくりへの強いこだわりを持つホンダの情熱が、オーディオ分野でも開花したといえるでしょう。

 価格(消費税込)は29万7000円で、受注は2019年10月17日から同年12月18日まで、ホンダの申し込み専用ページから受け付けています。

お値段約30万円! ホンダ「リベイドE500 for Music」を写真で見る(23枚)

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