バブル期に人気だった!? 1980年代から登場しブームとなったパイクカー5選

985年から1991年まで日本で起こったバブル景気。この時代に登場しブームとなったクルマがあります。特徴的なスタイリングを持つそのクルマは「パイクカー」と呼ばれブームとなりました。そんなバブル期に登場したパイクカーを紹介します。

中身は普通? レトロ調デザインが特徴だったパイクカー

 バブル景気に湧く混沌とした時代に登場した、特徴的なスタイリングを持つクルマが、日本でパイクカーの元祖といわれる、1985年11月の東京モーターショーに出品された日産「Be-1」です。

 発表当時はコンセプトモデルでしたが、その後、日産は1986年1月に限定1万台生産を正式に発表します。Be-1をはじめとしたこれまで販売されたパイクカーには、どんなクルマがあったのでしょうか。5台をピックアップして紹介します。

●日産「Be-1」

 ショーモデルを忠実に再現した市販版のBe-1は、2か月ほどで受注が埋まり、1987年1月から納車が始まりました。

日産「Be-1」
日産「Be-1」

 Be-1の魅力は、その内外装のデザインが醸し出す雰囲気にあり、クルマをファッションアイテムの一部、つまりファッション雑貨のブランドとして訴求できたのがポイントです。

 Be-1は1982年に登場した日産の小型車K10型初代「マーチ」のシャシを使ったクルマで、メカニズムの側面では訴求すべき点はなく、中身は初代日産マーチそのものです。

 しかし、デザインは秀逸でした。Be-1は、ファッション業界からコンセプターを招き、レトロな丸くて小さなデザインが最大の特徴のクルマでした。ネーミングは、スタディモデル案、A案・B-1案・B-2案・B-3案の4つのモデルのなかの「B案のNo.1」から採ったとされます。

 このBe-1は、それまでの自動車が追求してきた絶対的な動力性能やパッケージング、実用性などの既成目標は達成しており、別のベクトル、既成価値へのアンチテーゼともいえる方向性を指し示すことで独自の価値を見せたクルマだったのです。

 ボディは2ドア2ボックスで、ボディサイズはベースとなった初代マーチとほぼ同じ、全長3635×全幅1580×全高1395mm、ホイールベースは2300mmです。

 搭載エンジンは987cc直列4気筒OHCで、最高出力52馬力、最大トルク7.6kgm。ミッションは5速MTと3速ATが設定されました。ボディカラーはパンプキンイエローほか全4色です。

 日産は、Be-1が街を走り始めるのとほぼ同時に、アパレル製品や雑貨をセレクトしたコンセプトショップ「Be-1 SHOP」を開設します。場所は地下鉄表参道駅と外苑前駅の中間、青山通りに面した一角でした。

 店内にはBe-1のイラストやロゴが入ったオリジナル雑貨のほか、Tシャツやトレーナーなどのカジュアルウェアなど、「快適な空間を志向するナチュラルな心地よさ」を追求した空間でした。

●日産「パオ」

 Be-1の成功を受け、日産は「2匹目のドジョウ」を狙います。1987年の東京モーターショーに出品したパイクカー第2弾「パオ」を1989年1月に市販化しました。

 先例のBe-1と同様に限定車という受注方式を採用しますが、台数を限定して混乱を招いたBe-1の経験から予約期間だけを設け、予約期間に受注した数だけ生産するという方式を採りました。

 スタイリングは、ドアのアウターヒンジやリブの入ったドアパネル、跳ね上げ式リアウインドウなどで懐古的な雰囲気を演出しました。

 クルマとしてのハード面はBe-1とほとんど同じで、異なるのはステアリングがパワーアシスト付きになったことです。

「メカニズムに何の新しさもなく、アウタースキンだけを換えただけのクルマ」という酷評もありましたが、バブル景気に乗った勢いで、たった3か月の受注で4万2000台を受注する大ヒットとなりました。

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