「いきなりエベレスト登頂は無理だった」ホンダF1復帰5年目の大躍進の裏側を探る
2018年にトロロッソと組んで再出発したホンダ
不本意な成績しか挙げられなかったマクラーレンとホンダは、2017年を最後に関係を解消します。「ここはおたがい1回リセットして出直そう」という判断だったと見ていいでしょう。そして名門マクラーレンに続いてホンダが組んだのがトロロッソでした。
もともとミナルディという名前で設立されたトロロッソは、これまで35年間にわたってF1を戦い続けてきましたが、規模が小さいこともあってチャンピオン争いに加わったことのない、どちらかといえば弱小チームです。
彼らは2006年にエナジードリンクメーカーのレッドブルによって買収され、チーム名をトロロッソに改めました。トロロッソはイタリア語で「赤い牛」、つまりレッドブルを意味しています。また、メインスポンサーが共通であることもあって、RBRとトロロッソは兄弟チームのような関係にあります。
トロロッソとの提携を山登りにたとえれば、「目標をエベレストから富士山に切り替えて、ひとまず練習として高尾山に登ってみよう」といえるかもしれません。
ただし、この方針は大成功でした。1段1段のギャップが大きすぎて躓いてばかりだった状況から抜けだし、確実に前進できるようになったからです。いわば、ホンダは「急がば回れ」を実践したわけです。
そうした着実な進歩がRBRの目にとまり、RBRはホンダと交渉を開始。話はトントン拍子に進んで2019年からトロロッソに加えてRBRにもパワーユニットを供給する方針が固まり、これが功を奏して快進撃が始まったのです。
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2019年10月11日から13日には鈴鹿サーキットを舞台にF1日本グランプリが開催されます。1年に1度だけ、日本でナマのF1レースを見られる日本グランプリを楽しみにしているファンは少なくないでしょう。
また、日本GPはホンダにとっても地元で開催される大事なレースでもあります。どんな意気込みで日本グランプリに挑もうとしているのか、山本氏に聞いてみました。「鈴鹿のレースはホンダにとってももちろん大切。できるだけのことはするつもりです」
ここで幸運だったのは、RBRホンダの初優勝を挙げたのがオーストリアGPだったことです。というのも、オーストリアGPの舞台であるレッドブル・リンクはRBRのホームサーキットだからです。
「オーストリアGPで優勝したとき、RBRの人たちから『次は鈴鹿だね』といってもらいました。それだけ彼らも日本GPを大切に思ってくれているのです。この先もレースで勝つために必要な要素をしっかり積み上げていって、鈴鹿でいい結果が残せるように頑張っていきたいと思います」(山本氏)
RBRとともにホンダ製パワーユニットを使うトロロッソも、今年のドイツGPでは久々の表彰台に上るなど絶好調です。
RBRとトロロッソ、そしてホンダが鈴鹿でどんな活躍を見せてくれるのか、大いに期待したいところです。
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