「いきなりエベレスト登頂は無理だった」ホンダF1復帰5年目の大躍進の裏側を探る

ホンダが2015年にF1に復帰してから5年。ホンダF1第4期として復帰当初にマクラーレンと組んだホンダは、苦戦が続いていました。しかし、レッドブル・レーシングと新たにタッグを組み、2019年シーズンは2回の優勝を飾るなど大躍進しています。ホンダのF1活動が好調な要因とは、一体何なのでしょうか。

2015年にF1に復帰したホンダは苦難の連続だった

 フォーミュラ1(以下、F1)に挑戦するホンダが、2019年はシーズン半ばまでに2回優勝する大活躍を示しています。ホンダのF1といえば、つい最近まで苦戦続きで、ドライバーからも散々非難されていたはずです。

 それが、今年に入って大躍進を果たしたのは、一体なぜなのでしょうか。

2019年7月のオーストリアGPで初優勝したレッドブル・レーシング
2019年7月のオーストリアGPで初優勝したレッドブル・レーシング

 ホンダと組んで2勝を挙げたのは、レッドブル・レーシング(以下、RBR)というチームです。設立16年のRBRは、F1チームのなかでどちらかといえば新興勢力ですが、その短い歴史のなかで4回タイトルを勝ち取った実力派でもあります。ホンダはこのRBRと組むことで、大きな成功を収めたのです。

 リーマンショックの影響で2008年シーズンでF1から撤退したホンダですが、2015年には6年ぶりの復帰を果たします。そのときパートナーに選んだチームはマクラーレンでした。

 マクラーレンといえば54年の歴史を持ち、8回チャンピオンに輝いた名門中の名門。かつてホンダは1988年から1992年までマクラーレンと組んでいて、このときは5年間で4回タイトルを獲得する戦績を収めています。

 しかも1988年には全16戦中15勝を挙げる快挙まで達成。当時のマクラーレン・ホンダはまさに無敵の存在でした。

 そんな過去があったので、マクラーレンと組んで復帰したホンダに対しても大きな期待が寄せられていました。当時、ホンダ栃木研究所の技術広報室長で、いまはホンダF1のマネージングダイレクターを務めている山本雅史氏でさえ、「マクラーレンと組めばすぐに勝てるようになる」と思っていたそうです。

 しかし、現代のF1はどれだけ実力のあるチームや自動車メーカーであっても、すぐに成功を収められるほど簡単なレースではありません。

 そもそも、ホンダが休止していたあいだに、F1マシンの動力源はハイブリッドへと進化。ここにホンダは1年遅れで参入することになったため、性能的に遅れをとるのは仕方ありませんでした。

 いっぽうのマクラーレンも、これと前後して首脳陣や技術陣に大きな変化があり、体制面で安定しているとはいえない状況でした。それにもかかわらず、マクラーレン・ホンダが過去に残した成績が突出してよかったため、どちらの側にも焦りが出て実力を出し切れなかったようです。

 山本氏は当時を振りかえって、次のように語ります。

「山登りにたとえていえば、いきなりエベレストに登れないのと同じですよ。やっぱりちゃんとステップを踏まないと高い山には登れない。マクラーレンと組んで、僕たちはそんなことを学んだのかもしれません」

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